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「親にプレゼントするため」 高齢者はLINEスマホを使ってくれるか

圧倒歴な知名度で参戦。MVNO市場、新たな競争曲面に
「親にプレゼントするため」 高齢者はLINEスマホを使ってくれるか

「LINEモバイル」の料金プランなどを紹介する嘉戸彩乃LINEモバイル社長

 LINEが格安スマートフォン市場に参入し、競争が一段と激化している。LINEは国内6200万人が利用する通信アプリケーション「LINE」の圧倒的な知名度を武器に展開する。NTTドコモの通信回線を利用する仮想移動体通信事業者(MVNO)として顧客獲得を狙う。迎え撃つ既存の格安スマホ事業者は店舗展開や独自のサービスを強化。後発のLINEは市場の主役になり得るか。

 「ITリテラシー(活用能力)が高い人だけでなく、初めてMVNOを試す人やスマホを持たない親にプレゼントするための申し込みがあった。良い意味で驚いた」。LINE傘下のMVNOであるLINEモバイル(東京都渋谷区)の嘉戸彩乃社長は、2万件限定で実施した先行販売の手応えを語る。特に家族経由で高齢の親世代がスマホを初めて持つ事例が出たことを喜ぶ。

60代以上のスマホ利用率は2割


 LINEは現状5割台にとどまる国内のスマホ利用率の向上を目標に掲げる。その実現は利用率が2割程度にとどまる60代以上の高齢者層を動かせるかがカギだ。フィーチャーフォンを持つ高齢者にスマホへの乗り換えを促す策が焦点になる。ただ、「高齢者はスマホの高機能を必要としていない」(横田英明MM総研取締役)ため、乗り換えのハードルは高いとされる。

 LINEは高齢者を動かすトリガーとして「家族」と「LINEアプリ」を位置付ける。嘉戸社長は「信頼する家族の薦めがあれば乗り換えを促せる可能性がある。

 またスマホを持ったらLINEを使いたいという高齢者は多い。手に取りやすい料金プランを意識した」と説明する。それが「LINEフリープラン」だ。利用料は月500円(消費税抜き)に抑え、LINEをデータ通信料無料で使える機能を備えた。フェイスブックなども通信料無料で使える「コミュニケーションフリープラン」と二つのプランで販売を始めた。

 高齢者などの初めてスマホを持つ層は既存の格安スマホ事業者も獲得を狙う。この層を含む消費者にサービスを訴求するため、多くの事業者は実店舗の展開を重視する。

“初めてスマホ”の不安解消へ


 初めて格安スマホを契約する場合、ウェブサイトでの申し込みに不安を覚える人は少なくない。店舗で対面の接点を持ち、不安を和らげる戦略だ。知名度を高める効果なども見込む。

 楽天の「楽天モバイル」は6日時点で全国に102店舗を構える。「2016年内に100店舗」としていた目標を前倒しで達成し「今後も積極的に増やす」(楽天)計画だ。

 UQコミュニケーションズ(東京都港区)の「UQモバイル」は既に家電量販店などに約1500店を出店しており、さらに「UQモバイル」を中心に取り扱う販売拠点の展開を9月に始めた。16年度内に40店舗の出店を目指す。

 LINEは実店舗を持たずにウェブサイトのみの受け付け体制で始動した。その理由について嘉戸社長は「(最初の販路は)評価を得るためにしっかりサポートできる範囲でなければならない」と力を込める。「LINE」の知名度の力で店舗を出さずに一定の層に訴求できるという自信もある。

 もちろん顧客を拡大していく過程では実店舗の展開も重要と認識しており、出店時期は来春が目安のようだ。店舗展開に向けてサービス品質に対する高評価を集められるかが、LINEモバイルの最初の試金石になる。

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日刊工業新聞2016年10月10日「深層断面」から抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
そもそもLINE利用者はほぼスマホの保有しているので、LINEの利用者(母数)を増やしていく必要がある。その意味で高齢者層をターゲットにするのは必然の流れ。ただ「LINEは無料」というイメージもあるので、実店舗がないと契約へと結びつけるのは難しいのではないか。契約とは直接関係ないが、「カウントフリー」の機能が広まると、ネットワークの中立性に関する議論も将来的に起こってくるだろう。

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