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エアバス「A350」、日本就航相次ぐ。長距離線軸に導入拡大

機内広く燃費25%向上
エアバス「A350」、日本就航相次ぐ。長距離線軸に導入拡大

ベトナム航空のA350型機

 日本への定期便で、欧エアバスの最新型機「A350」の就航が相次いでいる。ベトナム航空が2016年10月、関西―ホーチミン線に日本の定期便として初めて導入。同年12月に中華航空とシンガポール航空が、17年1月に香港・キャセイパシフィック航空が導入した。エアバスは15年に初号機を納入し、2年間で全世界に70機を納めた。燃費も良いことから、長距離線を中心に日本にも導入が広がり始めている。

 ベトナム航空はエアバスA350を導入した2路線目として、3月26日に羽田―ハノイ線で運航を始めた。6月にはフィンランド・フィンエアー、19年にはJALが導入する計画で、今後も就航が続く予定だ。

 A350は機体の70%に、炭素繊維などの軽量素材を使用し軽量化している。300席クラスの従来機に比べ、燃費が約25%向上した。燃料費が4分の1削減となるため、コストの大半を燃料が占める航空会社にとって「収益の大幅な向上に直結する機材」(ベトナム航空)と期待が高い。

 初号機を受領した「ローンチカスタマー」は、中東のカタール航空で、15年1月に初就航した。ベトナム航空は14機を発注しており、15年7月にアジアの航空会社では初めてA350を受領した。

 同時期に運航を開始した米ボーイング787型機とともに、中核機と位置付け、現在まで7機を受領。日本へ初めてA350を就航させるなど、サービス拡充の切り札として、日本路線への投入を進めている。

 運航が始まった羽田―ハノイ線はA350の導入により、ビジネスクラスの機内食で、料理を一つずつ陶器の皿に盛って提供できるようになった。従来のA321に比べ、機材が約1・7倍に大型化したことで、機内のキッチンも広くなり、客室乗務員が機内で料理を盛り付けることが可能になったためだ。

 ベトナム航空は夏ごろをめどに、現在のビジネスクラスとエコノミークラスに加え、プレミアムエコノミークラスを設け、3クラスにする計画。より高いサービスを求める日本市場の需要に、きめ細かく対応していく。
日刊工業新聞2017年4月4日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
日本の航空会社は、JALが31機の確定発注とオプション(仮発注)25機を含め、A350を最大56機購入する契約を結んでいる。現行の主力機であるボーイング777の後継機として、19年から運航を始める。現在、内装のレイアウトなどを検討するなど、受領に向け準備を進めている。A350は現状、一部の国際線でしか乗れないレアな機材。だが、JALは国内線にも導入する計画で、20年頃には日本の空を頻繁に飛ぶ機材となりそうだ。

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