エアバスも一目置く国内唯一の降着装置メーカー、「ティア1」への道

住友精密工業、買収で精密機械加工から表面処理までの体制整える

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住友精密工業が欧エアバスと共同で研究開発に取り組む電動式の脚揚降システム
 国内唯一の降着装置メーカー、住友精密工業。2020年までの長期ビジョンに基づき、世界的な航空機メーカーに直接納入するティア1(1次下請け)サプライヤーとしての地位確立を目指す。その布石として、北米地域でカナダに子会社を設立したのに加え、現地メーカーを相次いで買収し精密機械加工から表面処理まで手がける体制を整えた。

 1997年にカナダのボンバルディアからブレーキや油圧配管を含む脚システムを受注し、民間機向け事業が本格化。北米での体制構築などを進める中、2014年には独メーカーのドルニエ・シーウィングスから水上機の降着装置を受注した。

 開発段階から参画した小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」用の脚はすでに量産を始めており、国産ジェット旅客機「MRJ」向けも量産化に期待を寄せる。

 高強度金属材料の機械加工と熱処理、表面処理といった特殊工程の厳格な管理が評価され、「海外からも多くの引き合いがある」(田岡良夫副社長)と自負する。

 競合他社では外注する表面処理を社内で手がけられる一貫体制も特徴だ。こうした強みを武器に、小型機分野に専念して事業拡大を狙う。

 次世代の技術開発では欧エアバスと共同で脚の揚降システムの電動化に取り組み、新エネルギー・産業総合技術開発機構(NEDO)の事業で磁気粘性(MR)流体を使ったブレーキの電動化や走行自動化なども進める。

 航空宇宙関連のもう一つの柱が「上昇気流に乗りつつある」(田岡副社長)というエンジンや空調システム用の熱交換器だ。

 英ロールス・ロイスのエンジン「トレント1000」や「トレントXWB」向けに供給し、次期の「トレント7000」向けでも設計・開発・製造などを担う契約を15年に結んだ。MRJにも供給する。

 真空ロウ付けの技術を生かした製品の中でも、エンジンファンケースの内側曲面に沿って装着されるサーフェス・クーラーはエンジン効率を下げずに済む点が評価され、他社も追随している。今後も技術開発を重ね、さらに性能を高めていく。
(文=大阪・窪田美沙)

日刊工業新聞2017年1月16日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

前身の住友伸銅所(現新日鉄住金)が1933年にプロペラ製造を始めたのが航空宇宙関連事業のルーツ。現在同事業の売り上げは全体の6割を占める。中小企業が集まり航空機部品の受注から納入まで共同で手がけるジャパンエアロネットワーク(JAN)の発足を支援し、部品の加工を委託するほか、運営面で協力する。

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