「人生を輝かせたい」-マツダのブランド力に宿る経営理念

ブランドを作り、育てられる人材が学習を重ねる

 丸の内ブランドフォーラム(片平秀貴代表)の活動が、西日本地区にも広がっている。マツダ、ノーリツ、シマノ、大手電力会社の計4社から、広報やブランド担当者らが各社の現場を訪ね、ブランドについて議論を重ねている。西日本にフォーラムのオフィスがないことから始まった現場訪問だが、参加者はブランド力が経営理念に裏付けられていることを再確認している。

 丸の内ブランドフォーラムは、ブランドを作り、育てられる人材輩出を目指す学習の場。「ブランド」は、ロゴやキャッチコピーの「洗練さ」や「インパクト」ではない。

 経営理念が社員に浸透し、消費者にも伝わるブランドを“本物”と定義する。東京では毎月、経営者らを招いて勉強会を開いている。西日本から参加の4社約15人は、2106年2月から約1年を費やし、各社の現場を回った。

 マツダを訪問した他の3社の参加者は「デザイン、開発、工場の各職場の社員が同じことを言っている」と感心したという。それは「人生を輝かせたい」という理念が、浸透していたからだ。

 ノーリツの現場訪問では、24時間体制で給湯器の故障修理を受け付けるカスタマーセンターの充実ぶりに注目した。同社内では、顧客がお湯を使えない時間を少しでも短くするための「当然の業務」と受け止められていたが、社外の目には新鮮に映った。

 参加者は物足りないと感じたことも指摘する。マツダでは「ディーラーに理念の浸透が薄いのでは。販売の最前線が消費者に伝えないともったいない」、ノーリツでは「『お風呂のことはノーリツに聞かないと』というぐらいに、お風呂を“売り”にしては」などと、次々に意見が出たという。

 シマノにはインターネットのウェブサイトに注文が付き、大手電力会社には「現場社員の士気の高さをもっと(顧客に)伝えた方が良い」という声が上がった。

 片平代表は「現場を見ると、経営理念が浸透しているかどうか分かる」と話す。そして「経営理念が浸透していると、なぜ出社するのか、その理由を社員が納得している。社員が笑顔ならお客さまや世間も笑顔になる」と“笑顔の好循環”を期待する。

 目先の業績を上げることに執着して無理に販売をしても、「笑顔の増殖は生まれない」(片平代表)。逆に社員の士気が下がり、社会からの評価も高まらない。社員が働きたいと思う会社こそ「究極のブランド力」と力説する。

 ブランド力があると思われた企業が不正を犯し、信頼を失う事態が起きている。ブランド力を高めたい企業は、経営理念が社内に浸透しているのか、確認してみると良さそうだ。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2017年3月24日

松木 喬

松木 喬
03月25日
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どこなのか忘れましたが、非財務情報として「経営理念の浸透度」を計測、公表しようとしている国があったと思います。コーポレートガバナンスコードも、社外取締役の人数ばかりに注目していますが、経営理念の浸透も大切にしています。本当のCSRとは何か、ブランドとは何か、考える時にきたと思います。

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