建機、世界市場で“春の兆し” 日本勢は耐え抜いた底力を発揮するか

いよいよ中国が本格回復へ。インドは周辺国含め一大市場に

 3年にわたって苦境が続いてきたコマツや日立建機などが巻き返しへの糸口をつかんでいる。中国で建設機械の需要が2016年秋に底打ちし、回復基調が強まる中で春節(旧正月)明けの商戦を迎える。インドも道路網や住宅への投資が拡大することが見込まれており、成長する市場だ。ただ、世界的に需要動向がまだら模様なだけに、各社には慎重な見方もある。“冬の時代”を耐えてきた建機業界に、春が少しずつ近づいている。

中国はインフラ整備が追い風


 「沿岸部や西南部が非常に良いが、先行きは手堅くみている」。日立建機の桂山哲夫執行役常務は中国での需要をこう説明する。

 低迷が長引いていた市場の潮目が変わったのは間違いない。16年4―12月期連結決算で、コマツは中国売上高が前年同期比20・1%増の579億円、日立建機も同11%増の395億円。日立建機は現地での16年度油圧ショベル需要を10月時点と比べて3000台増の2万5000台に変更した。

 背景にあるのが、政府の公共投資による景気の下支え策。実質国内総生産(GDP)の成長率が鈍化する中で、インフラ整備が進んでおり、建機需要に結びついている。懸案の都市と農村の格差是正の観点からも、工事の増加が見込まれる。

 また現代版シルクロード構想「一帯一路」の実現に向けた投資も拡大することで、さらなる需要喚起につながる。苦しんできた建機メーカーにとって追い風が吹き始めている状況だ。

 一方で、需要が最も高まる春節明けの商戦には変化がみられる。コマツの大橋徹二社長は「2―3月に年間需要の4割ぐらいが集中し、季節変動が大きい市場だったが、集中度合いが少し落ちてきている」と指摘する。
中国市場の回復基調が強まっている(日立建機の中国工場)

それでも慎重に見極め


 今後2カ月の動向こそが、中国市場を判断する格好の材料となる。各社の経営陣の慎重に見極めようとする姿勢が変わらないのはそのためだ。

 政府による4兆元の景気刺激策で建機業界が沸いた10年のような状況にはほど遠いのが現状で、各社は堅実な反転を望んでいる。

 神戸製鋼所は現地代理店からの債権回収が進まずに約340億円の貸倒引当金の計上を迫られたことから、建機事業の再構築に乗り出す。「債権管理を優先する」(梅原尚人副社長)とともに、代理店の新設と統廃合により販売の空白エリアを解消する。

 コマツも与信管理のために、貸倒引当金を17億円計上している。政府の方針が需要に大きな影響を与える中国で、各社は再起をかける。
                


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日刊工業新聞2017年2月6日

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日刊工業新聞 記者

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02月07日
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建機業界に吹き続けてきた逆風は少しずつ収まりつつある。中国やインドで需要が高まる今、各社は反攻へのスタートラインに立っている。ここ数年の苦境で培った実力がこれから試され、春を謳歌(おうか)できるメーカーが決まる。
(日刊工業新聞第一産業部・孝志勇輔)

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