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金融危機時に社長を継いだ息子が航空機の共同受注組織を立ち上げるまで

岐阜・各務原の大堀研磨工業所
金融危機時に社長を継いだ息子が航空機の共同受注組織を立ち上げるまで

2016年7月に設立した「岐阜航空機部品クラスター」


大垣共立銀の支援で共同受注グループ


 【名古屋】岐阜県内で金属や精密部品の加工を手がける中小企業4社が2016年8月29日、航空機部品の共同受注組織「岐阜航空機部品クラスター」(GACCT)を設立した。地元の大垣共立銀行が組織の設立を支援し、受注活動や財務支援などで協力する方針。付加価値の高い航空エンジン部品に的を絞って営業活動し、ニーズが高まる複数工程の一貫生産の実現を目指す。

 受注組織を設立したのは放電加工・平面研削の日電精密工業(大垣市)、機械加工の岩田鉄工所(羽島市)、研削加工の大堀研磨工業所(各務原市)、精密板金・複合材穴あけのツカダ(関市)。航空機部品検査のJapanエアロインスペクション(東京都千代田区)も人材の派遣などで支援する。今後、参画企業を増やすことも検討する。

 営業窓口は日電精密工業が担う。10月に東京で開かれる国際航空宇宙展への出展を皮切りに受注活動を展開、川崎重工業や三菱重工業など国内エンジンメーカーを中心に受注を目指す。日電精密工業の吉田昌弘社長は「クラスター(共同受注組織)として後発だが、強い覚悟を持って参入する」と意気込んだ。表面処理や非破壊検査などで県内の他企業との連携も検討する。

 航空機関連の共同受注組織の設立を銀行が主導するのは珍しい。大垣共立銀行の加藤芳之専務は「単一工程だけの受注は難しくなってきた。クラスターの立ち上げで地域産業を活性化したい」と述べた。

日刊工業新聞2016年8月30日

日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 大堀研磨さんを取材させて頂いたことが何度かあります。重工メーカーの近隣に立地するという"地の利"をいかし、技術のアピールに成功した例だといえます。技術は、やはりアピールしてこそ認められるものですね。

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