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いよいよ花粉の季節。最近、大きく変化した免疫療法とは

薬物・手術・免疫、治療の3本柱

舌下免疫療法、注射なし家でも


  最近大きく変化した花粉症の免疫療法についてお話します。免疫療法は、アレルギー性鼻炎治療の中で、唯一となる根本的な治療方法です。

 そもそも免疫とは、人の体内に異物が入りこんできた時に、これを敵とみなして排除しようとする体の防御反応のことです。

 スギ花粉症は、スギ花粉を吸いこんだ時に免疫機能が働くことによって、花粉を体外に追い出そうと、くしゃみや鼻汁、鼻閉でブロックしている過度の反応状態といえます。

 免疫療法は、原因であるスギ花粉の成分を、薄い濃度から体に入れていきます。

 そのことで体が徐々に花粉に慣れていき、過敏に排除しようとする反応を抑えていくという方法です。

 日本では1960年代以降、皮下注射で免疫療法が行われてきましたが、この方法では、頻繁に通院が必要でした。しかも注射ですから、毎回痛みを伴う欠点がありました。

 2014年10月からは、舌下免疫療法が保険診療の適応になって、治療がたいへん楽になりました。

 舌下免疫療法は具体的に、スギ花粉の成分が入った薬液を舌の裏側に2分間保持して、その後に飲み込みます。最初の2週間は増量期といって、薄い濃度で少量のものからだんだん濃度を上げていきます。

 3週間目からは維持期といって、1ミリリットルの薬液を毎日服用していきます。この方法なら家でもできますし、痛みもありません。

 しかし、重症の喘息(ぜんそく)がある人や特定の薬を服用中の人はできないなど、いくつかの注意点がありますから、まずはお近くの舌下免疫療法を行っている施設でよく説明を受けて下さい。行っている施設はインターネットで検索することができます。

 また、2015年12月からはダニアレルギーに対しても、飲み薬での免疫療法が可能になりました。

 ダニアレルギーは、1年中症状が出ている方が多いため、これは朗報だと思います。

 花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎は、鼻水や鼻づまりによって集中力が落ちてしまうといったさまざまな弊害があります。

 それぞれに合った治療をして、つらい症状に「さよなら」しましょう。
(文=鈴木香代・花と森の東京病院・耳鼻咽喉科医長)

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
昨日の東京は気温が20度近く。今朝のワイドショーは花粉の話題ばかりです。自分はここ毎年「想像花粉症」です。最初、目がかゆくなって今年こそ!と思って病院で見てもらうとアレルギーがなく、それを聞くと急に症状がなくなる。 治療法も少しずつ進化しているようなので、最適な療法を見つけて下さい。

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