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急増する前立腺がん、最適療法とは

比較的簡単な検査で発見。50歳を超えたら一度はPSAを
急増する前立腺がん、最適療法とは

最新鋭のロボットを使った前立腺がん手術も始まっている


抗男性ホルモン剤などの内服が主流に。命を落とすことは少ない


 前立腺がんは、進行が緩やかという特徴があります。がんが細胞レベルで発生してから、臨床的な大きさになるまで、一般的に数十年かかると言われます。

 さて、前立腺がんの治療には、手術療法、放射線療法、内分泌療法の大きく分けて三つの治療法があります。一般に治療法は病気の進行度により選択されますが、前立腺がんは進行度だけでなく、発見時のPSA(前立腺特異抗原)の値や、がんの悪性度などを総合的にみます。

 今後、がんが急激に進むのか、穏やかに成長し症状が出ない可能性があるのかを判断し、さらに年齢や期待余命(これから先どのくらい生きることができるか)と、その人のライフスタイルなども考慮し、最適な治療を選択します。

 手術療法は文字通り、手術によって前立腺を摘除して、がんを取り除く治療法で、開腹手術だけでなく、腹腔(ふくくう)鏡や、最近ではロボットを使う手術なども脚光を浴びています。また、放射線治療は体の外から放射線を照射する方法と前立腺内に放射線の線源を埋め込む方法があります。

 前立腺がんは男性ホルモンであるテストステロンにより、がんの発生や増殖が促進される傾向があり、この男性ホルモンを押さえる治療が内分泌療法です。

 かつては男性ホルモンを分泌する精巣(睾丸こうがん)を両側とも摘除していましたが、現在では脳からのホルモン分泌の指令をブロックする注射や男性ホルモンの働きを抑える抗男性ホルモン剤などの内服が主流となっています。最近では新たなホルモン薬が毎年のように出てきており、ますます治療選択の幅が広がっています。

 前立腺がんは比較的治りやすくコントロールしやすいがんで、他のがんに比べ命を落とす可能性は少ないがんと言えます。有名な人では森喜朗元首相やタレントの間寛平さんが発症しましたが、治療後、元気に社会復帰しています。早期に発見し、主治医とよく相談の上、納得のいく治療をすることが大切です。

 前立腺がんにならないための予防策は、ハッキリとした決め手がありません。家族や親戚に前立腺がんの人がいる場合はもちろん、いなくても“男50”は一度、なるべく早い時期にPSAを測定することをお勧め致します。
(文=大澤秀一・平成立石病院副院長)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
一度、残尿感にあって泌尿器科に検診に行ったことがある。特に前立腺に異常もなく、医師に冬場はそういう感覚になりがちと言われた。その後すぐに残尿感はなくなった。気持ち、精神的な部分もかなりあるのだろう。

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