トランプの「メイク・ディール」に翻弄される日本

「米国が一番」の意味を考える

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トランプ公式サイトより
 昨年に創設50周年を迎えた東南アジア諸国連合(ASEAN)。その創立メンバーであるインドネシア、タイ、マレーシアなどは、いずれも当初、国内産業保護の「輸入代替型工業政策」を取っていた。

 しかし、1970年代末ごろから、自国の優位さを生かせる「輸出志向型工業政策」による経済成長に舵を切り、今日のASEANの繁栄の礎を築いた。

 一方で、80年代に入ると、中国が沿岸部を中心とした「開放経済政策」を本格展開して「世界の工場」となり、経済大国への道を歩む。

 さらに、インドは90年代に入り、国際通貨基金(IMF)の勧告を受け入れ、独立後堅持していた社会主義的な「混合経済政策」を放棄し、経済の自由化を進めた。その結果、中国経済が停滞している今、インドは世界が注目する直接投資先となり、7%台の経済成長を達成している。

 いずれの例でも、経済の開放とグローバル化が各国の経済発展を後押しし、ITの普及がそうした動きを加速していることが分かる。そもそも米国のIT開発を担ったのは、IC(インド人と中国人)でもあった。

ガンディーが唱えた「スワデーシ」を彷彿


 さて、20日に発足した米国のトランプ政権の政策である。トランプ大統領は就任演説の中で「米国産品を買い、米国人を雇う」とした。自国産品愛用などといわれると、インドの独立闘争時に、マハトマ・ガンディーが唱えた「スワデーシ」を思い出してしまう。トランプ演説は米国の暗い面を強調し、「強い米国」の復活を鼓舞した。

 トランプ大統領は就任当日、オバマ前大統領が推し進めた医療保険制度改革法(オバマケア)を見直す大統領令を発令。独自政策履行へのベルを鳴らした。同日、ホワイトハウスのウェブサイトにエネルギー、外交、雇用と経済、国防力の再建、移民と治安、貿易の6分野に分類した基本政策を掲載した。

 エネルギーでは、オバマ前政権が定めた地球温暖化対策の行動計画などを「有害で不要」な政策として撤廃を表明。50兆ドルと推定される未開発のシェールオイル・ガスといった国内資源を活用し、石油輸入依存からの脱却。その利益で学校などのインフラ整備を推進すると表明した。

米国の利益を害する国には断固たる措置


 外交では、イスラム過激勢力である「イスラム国」(IS)などのテロ組織撲滅に向け、必要なら連合を組み軍事作戦を敢行するとした。テロ組織の資金調達を阻止し、情報共有を拡大し、宣伝や勧誘を阻止するサイバー戦を進めるため、国際協力の推進も明記した。

 雇用・経済では、今後10年間に2500万人の雇用を創出し、4%の経済成長を目指し、所得税・法人税の大幅減税を掲げた。治安・移民に関しては、法執行機関を強化し、不法移民や犯罪集団、麻薬の流入を阻止するため、メキシコとの国境に壁を建設、暴力的な犯罪歴を持つ不法滞在外国人を送還するとした。

 貿易では環太平洋連携協定(TPP)から離脱し、北米自由貿易協定(NAFTA)に関しても再交渉。また、米国の利益を害する国には断固たる措置で対抗する、などとしている。

<次のページ、米国の強さの主因は「有能な移民」のはずだが・・>

日刊工業新聞2017年1月26日

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