「痛風」になってしまった!これだけは守っておきたいこと
「体質」が大きく影響。痛みがなくなっても治療継続を
精神的なストレスも尿酸値を上げてしまう。健全な精神状態を
痛風の原因は、プリン体の代謝物の尿酸であることは先週紹介しました。痛風を防ぐには尿酸を上手にコントロールすることが大切です。では、どのようにすれば良いのでしょうか?
発泡酒のテレビコマーシャルで、“プリン体ゼロ”なんてフレーズを耳にしたことがあると思います。これは、ビールにプリン体が多く含まれていて、痛風発作の原因になると知られているため使われるセリフです。ビールばかりではなくアルコール全般が、尿酸の代謝排せつに、あまりよくありません。飲酒後に発作を起こすことが多いようです。食べ物ではレバー、あん肝、ウニ、エビ、イカなどに含まれています。食べ過ぎないように気を付けましょう。何事もほどほどが良いようです。
尿酸の70%は尿により排せつされるので、しっかりと水やお茶を飲んで、脱水を避け、尿をたくさん作りだすように心がけましょう。野菜を摂取すると尿がアルカリ化し、さらに尿酸が排せつされやすくなります。
痛風患者の約6割は肥満ですが、その中でダイエットを行った人の尿酸値はおおむね正常化すると言われています。さらに、ダイエットは高尿酸血症になりやすい体質を改善させます。ただ、急に激しい運動をすると逆に尿酸値が上がってしまったり、身体を損傷してしまいますので、無理のない運動を継続し、習慣付けることが大事です。ダイエットと運動により、血中コレステロールや糖の値も正常化していきます。
精神的なストレスも尿酸値を上げてしまう原因と言われます。人生いろいろ、立場もいろいろですが、毎日仕事ばかりではなく、趣味を楽しみ、そして時にはゆっくりと休養して、健全な精神状態を保ちましょう。これは尿酸値だけに限った話しではありませんが…。
痛風はホルモンの関係で、90%と圧倒的に男性が多い病気です。男も中年になったら、無理なく少しずつ普段の生活に気をつけて、たまにはしっかりと休みながら、バランスよく過ごしましょう。そして、食事とお酒を楽しみ、これからも仕事をがんばりましょう!
(文=南部昭彦(平成立石病院整形外科部長)
日刊工業新聞2015年9月25日/10月2日