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「北海道」と「北陸」、新幹線効果をどこまで継続できるか

経済界トップが語る2017年。「地方創生のチャンスはどこにある?#02」
「北海道」と「北陸」、新幹線効果をどこまで継続できるか

北海道新幹線(左)と北陸新幹線・金沢駅


北陸経済連合会・久和進会長


 北陸地区は北陸新幹線の開業効果が持続し、経済は回復状態が続く。高水準の化学を中心に生産も回復している。同新幹線の敦賀以西の延伸ルートも決まり、さらなる活性化が期待できる。北陸経済連合会の久和進会長に産業活性化策や課題を聞いた。

 ―北陸新幹線の敦賀以西が小浜・京都ルートに決まりました。
 「北陸3県が一体となって支持していたルートで、速達性、料金の安さ、費用対効果に優れる。大阪までつながれば関西復権の手助けになるはずで、関西の経済団体とも連携して建設促進に取り組む。2030年頃までの1日でも早い全線開通を期待する」

 ―すでに開通している区間の経済効果が持続しています。
 「金沢開業から約1年10カ月経つが、乗車人員は開業前の約3倍を維持している。インバウンド(訪日外国人)観光など大いに成長が期待でき、ホテルの新設が相次ぐなど地域活性化には有力な産業だ。北陸の素晴らしさを全国に伝え、交流人口だけでなく、居住人口の増加にもつなげたい」

 ―産業活性化策で注力する取り組みは。
 「大学と連携し、企業の研究開発部門の誘致を促す。北陸は災害リスクが少なく、電気代などが安いため大都市より住みやすく、新しい技術や付加価値を生み出しやすい環境にあると考える。新幹線で大都市との距離も縮まった。生産人口が減少する中でクリエイティブな仕事をする若者を増やす必要がある」

 ―国際化への対応が課題です。
 「国内は少子高齢化が進み、将来にわたって発展するにはアジアの成長を取り込むことが重要だ。16年度は韓国やベトナムとの経済交流会議で意見交換や商談会を行ったほか、中国との経済協力会議も開いた。17年度はタイとの経済交流会議を開くことを検討している」

 ―17年は海外情勢が気になります。
 「米国のトランプ次期大統領はビジネスマンとして経済への影響を考えるはずだ。環太平洋連携協定(TPP)から離脱しても現状と同じなのでリスクはないが、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しとなるとカナダやメキシコ中心に影響が出るだろう。中国は輸出から内需中心に構造改革を進めている。北陸は一般消費財より生産財、中間財のメーカーが多く、アジアの需要取り込みに期待できる」

 ―17年の北陸経済の見通しは。
 「個人消費は持ち直し、新幹線延伸工事を中心に公共工事が増加している。雇用情勢も改善、経済全体は回復を続けている。今後も設備投資の着実な増加などで好循環の継続を期待する」
北陸経済連合会会長・久和進氏

【記者の目/研究開発部門誘致が有効】
 北陸の人口は自然減だけでなく、進学や就職を迎える20歳前後を中心に社会移動による減少が続く。北陸経済連合会が地方へ人を呼び込む魅力作りや人材を地元に定着させる仕組み作りのため、研究開発部門の誘致を促すのは有効な手段になり得る。製造業が盛んで誘致のための素地があり、交通網整備で地方のハンディは薄れている。将来にわたる発展を見越した取り組みが早期に実を結ぶのか着目される。
(文=金沢・市川哲寛)
日刊工業新聞2017年1月16/18日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
いずれも新幹線が新規開業し、さらに延伸を控える地域。新幹線という「大動脈」が通った効果が出ているよう。これから必要なのは2次交通など血管をめぐらせ、人や金といった「栄養」の受け渡しを活発にすること。さまざまなユニーク施策が切れ目無く続くことに期待です。

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