オバマ退任演説とトランプ会見の比較から見えてく米国の精神
気鋭のスピーチライターが分析。オバマ演説は、民主主義に対する信仰だった
2017年1月10日、バラク・オバマ米大統領が、シカゴで任期最後となる演説を行いました。会場は熱気で溢れ「あと、4年」などのコールが巻き起こるなど、演説の名手として知られたオバマ大統領らしい最後の演説となりました。
一方で、1月12日に大統領選挙後初となるトランプ次期大統領の会見が開かれました。こちらは、敵対し続けてきたジャーナリストを前にした会見ということあって、荒れた雰囲気となりました。
一体なぜ、このような結果の違いに至ったのでしょうか?それはオバマとトランプの個性の違いによるのですが、この二人を決定的に分け隔てている言葉の違いについて、考察してみたいと思います。
スピーチも会見も、当事者が最初に準備をするのがキーメッセージです。キーメッセージとは、テーマのようなもので、スピーチや会見全体を通して訴えたいメッセージを指します。
キーメッセージとよく似た言葉に、キーフレーズやキャッチフレーズがあります。キーフレーズは、耳に残るフレーズのことで、具体的に話される言葉です。“Yes, we can”などのフレーズがこれにあたります。キーフレーズは、キーメッセージを具体的に落とし込んだものであることが多いですが、キーメッセージと区別してください。
さて、スピーチや会見を作るときに最初に準備するのがキーメッセージですから、当然スピーチや会見を分析するときにも、キーメッセージがなんなのか分析することで、どんなに長いスピーチでも全体像を用意に把握できるようになります。ですので、今回もキーメッセージの分析から始めたいと思います。
まず、オバマの退任演説のキーメッセージについてです。
オバマは、スピーチ冒頭で次のように語っています。
「我々人類は、民主主義という手段を通して、さらに完全な結束を生み出すことができるのです。なんとすばらしいアイデアなのでしょう。私たちの創造者がくれた、すばらしい贈り物です」
意外に思われるかもしれませんが、オバマのスピーチは創造主であるキリスト教の神に言及し、称えるところからスピーチが始まります。実は、このスピーチ、信仰についてのスピーチという側面も色濃くあります。
なぜ、このように信仰について言及したのかというと、あらゆる側面から民主主義を擁護するためです。民主主義が成し遂げてきた実績や歴史を話すことはもちろん、そもそも民主主義が生まれ出てきた背景にあるキリスト教の信仰について言及することで、民主主義に向けられた疑いの眼差しを排除する狙いがあります。
したがって、キーメッセージは「民主主義の擁護」ということになります。
<次のページ、「私がすごい」トランプと「私たちがすごい」オバマ>
一方で、1月12日に大統領選挙後初となるトランプ次期大統領の会見が開かれました。こちらは、敵対し続けてきたジャーナリストを前にした会見ということあって、荒れた雰囲気となりました。
一体なぜ、このような結果の違いに至ったのでしょうか?それはオバマとトランプの個性の違いによるのですが、この二人を決定的に分け隔てている言葉の違いについて、考察してみたいと思います。
オバマのキーメッセージは「民主主義の擁護」
スピーチも会見も、当事者が最初に準備をするのがキーメッセージです。キーメッセージとは、テーマのようなもので、スピーチや会見全体を通して訴えたいメッセージを指します。
キーメッセージとよく似た言葉に、キーフレーズやキャッチフレーズがあります。キーフレーズは、耳に残るフレーズのことで、具体的に話される言葉です。“Yes, we can”などのフレーズがこれにあたります。キーフレーズは、キーメッセージを具体的に落とし込んだものであることが多いですが、キーメッセージと区別してください。
さて、スピーチや会見を作るときに最初に準備するのがキーメッセージですから、当然スピーチや会見を分析するときにも、キーメッセージがなんなのか分析することで、どんなに長いスピーチでも全体像を用意に把握できるようになります。ですので、今回もキーメッセージの分析から始めたいと思います。
まず、オバマの退任演説のキーメッセージについてです。
オバマは、スピーチ冒頭で次のように語っています。
「我々人類は、民主主義という手段を通して、さらに完全な結束を生み出すことができるのです。なんとすばらしいアイデアなのでしょう。私たちの創造者がくれた、すばらしい贈り物です」
意外に思われるかもしれませんが、オバマのスピーチは創造主であるキリスト教の神に言及し、称えるところからスピーチが始まります。実は、このスピーチ、信仰についてのスピーチという側面も色濃くあります。
なぜ、このように信仰について言及したのかというと、あらゆる側面から民主主義を擁護するためです。民主主義が成し遂げてきた実績や歴史を話すことはもちろん、そもそも民主主義が生まれ出てきた背景にあるキリスト教の信仰について言及することで、民主主義に向けられた疑いの眼差しを排除する狙いがあります。
したがって、キーメッセージは「民主主義の擁護」ということになります。
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