街を網羅しろ!IoT時代に新たな通信技術が台頭
低コストの「LPWA」、大手も動く
従来の移動通信網に代わる通信インフラも登場している。IoTに特化したネットワーク「LPWA」だ。データ通信量は毎秒100キロビット程度と低速だが、低消費電力を実現し通信費も年間数百円程度と低コストで送れる。国内ではベンチャーのほか、ソフトバンクやNTTドコモ、京セラコミュニケーションシステム(京都市伏見区)など大手企業も相次いで参入している。
NTT西日本もLPWAへの関心が高く、16年6月末から関西で実証実験に着手。第1弾として積水化学工業と共同で、農業の給水管理や水位・温度制御などの遠隔操作に取り組む実証実験をスタートした。農地が点在していてもLPWAを使ったIoTにより、効率的な管理が可能となった。
またダイキン工業とは空調機のIoT化を目指し、故障予知や花粉情報に対して運転制御を行う実証を行っている。
このほか、実証実験のパートナー募集については50件を超える問い合わせが集まっている。NTT西日本はLPWAの事業化の時期を明らかにしていないが、村尾和俊社長は「需要があれば一気に始める」と意気込む。
関西電力傘下の通信会社、ケイ・オプティコムもLPWAを強く意識する。藤野隆雄社長は「LPWAはIoT(を構築する上)で必須。LPWAを使った新たなサービスを検討している」と明言。電力の検針データ収集などの活用も想定している。
(文=大阪・川合良典、同・大城蕗子、京都・園尾雅之)
日刊工業新聞2017年1月6日