エンジ各社、巻き返しの1年。エネルギー投資待ちかインフラ受注拡大か

日揮、千代化、東洋エンジ3社トップインタビュー

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左から千代化の渋谷氏、日揮の佐藤氏、東洋エンジの中尾氏
 エンジニアリング会社の巻き返しに向けた試金石となる1年が始まる。原油価格が持ち直す兆しが出ていて、エネルギー分野の投資環境が少しずつではあるが整いつつあり、エンジ市場に薄日が差している。各社はインフラ分野の受注拡大も狙っており、収益基盤を強化する動きが活発化する。

 日揮は事業体制を抜本的に見直して、石油やガス分野に携わる部門とインフラ分野の部門を分けた。比較的コンスタントに受注が見込める同分野の案件を拡大する意図がはっきりとみえる。千代田化工建設も国内で発電や医薬品関連の受注を積み上げることを目指す。東洋エンジニアリングは東京都水道局の監理団体である東京水道サービスと特別目的会社(SPC)を設立、ミャンマーのヤンゴン市内で水道インフラの改善対策に乗り出した。

 エネルギー分野の投資が本格的に動きだす前だからこそ、事業領域を拡大する好機といえる。3社には成長軌道に再び乗るための手だてを打っていくことが必要な1年となりそうだ。

日揮・佐藤雅之会長インタビュー


「LNG分野に重心を置いた経営はできない」
 ―石油輸出国機構(OPEC)が減産で合意し、原油安に歯止めがかかる可能性が出てきました。
 「油価の下振れリスクは少ないだろう。安定することが大事だ。国営石油会社は投資意欲が出てきている」

 ―受注状況は。
 「モザンビークやインドネシアのLNG案件の受注が決まれば、2016年度受注目標の6000億円が射程に入ってくる。17年も引き続き同様の事業環境を見込んでおり、LNG案件がなくても16年度と同規模の受注高を想定している」

 ―LNGプラントの動向は。
 「18年以降に大型案件が動くだろうが、LNG分野に重心を置いた経営はできない。現在の中期経営計画では、以前のように案件が次々と出てくるとは考えていない」

 ―5カ年の中計が始まりました。
 「初年度は決めた方向性に沿って進むことができており、滑り出しはよい。油価の影響を受けやすいため、電力や社会インフラの案件も拡大していく。事業投資は選択と集中を重視する。電力や水関連の投資を強化するとともに医療や農業、空港分野にも取り組む方針だ」

 ―ロシア事業は。
 「ヤマル半島のLNGプラントやハバロフスクでの野菜工場に加え、北海道の北斗病院とウラジオストクでリハビリテーション施設を計画している。EPC(設計・調達・建設)で得た利潤をロシアに投資する」

<次のページ、千代化・東洋エンジインタビュー>

日刊工業新聞2017年1月4日

COMMENT

エンジ業界では液化天然ガス(LNG)の需要と供給が均衡する時期は2022―23年ごろとの見方が多い。需要を見据えた投資が必要で、プラントが稼働するまでに5―6年かかることも踏まえると、18年以降に案件が動きだすことが予想される。エンジ3社には市場の本格回復を前に、受注案件の多様化による収益の底上げが求められる。 (日刊工業新聞第一産業部・孝志勇輔)

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