氷河期就職は年収高い?低い?人事評価に“科学のメス”

東大など解析研究、データ分析で人材最適化

  • 1
  • 0

勤続年数長いと両極端の評価


 また別の事例として人事評価も挙げられる。組織内での人事評価は主観的で偏見や先入観が存在する。人事データの分析でこうした評価の“正体”が明らかになりつつある。同一の職場で勤続年数が長くなるにつれ、他人からの評価が非常に良い評価と、悪い評価に大きく分かれる可能性が高まることが分かった。

 また評価側である上司と評価される側である部下において、両者の家族構成や教育、年齢面で似たような環境にあるほど良いと悪いといった両極端な評価が出やすくなる。

 一方で、子どもがいない上司が子育て中の部下を評価するといった場合には評価が中央に集まりやすい。上司が子育てをしていないことが部下の評価に不透明感をもたらしているようだ。こうした知見が評価制度に生かされることが、今後重要になってくる。

  


新入社員の10年後を予測できる?


 人を採用することは企業にとって“大きな買い物”だ。そのため、将来の仕事のパフォーマンスをある程度予測し、採用することが重要となる。「採用試験時に実施するSPIなどの適性検査と面接のデータから、10年後の仕事のパフォーマンスの高さや精神面での強さなどが予測できれば、企業は採用方針を大きく改善できる」(大湾教授)と強調する。

 また企業にとっては採用コストを抑えることも必要だ。「適性検査など書類上で評価する方法を改善できれば、候補者を大きく絞り面接の人数を抑えられるかもしれない。いずれ書類選考を人工知能(AI)が担う時代が来るのではないか」(同)と期待する。

 今後、情報技術(IT)企業やグローバル企業など異なる業種の人事データを解析し、複数の事業が抱える課題などを調べる。人事データを分析できる大学の研究者や企業の人事部で働くデータ科学者の育成も必要だ。こうした人材を育成することで各社が自社の判断で人事制度を改革できるかもしれない。企業や個人が力を発揮できるような人事制度の構築が求められている。
(文=冨井哲雄)

日刊工業新聞2017年1月5日

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

2017年に注目している分野の1つが「HRテック」です。どうしてもブラックボックス化しやすい人事…できるだけ公正かつ成果が出るものにするためデータの活用に期待しています。

関連する記事はこちら

特集