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整備が進む首都圏の道路網!ヒト・モノ・カネの動きはどう変わる

物流、観光、税収・・経済効果への皮算用

税収が増加する自治体は?


 車の通行量にも変化が起きている。トラックについて、東名高速道路(東名高速)―東北自動車道(東北道)間を往来する場合、開通前は首都高速道路(首都高速)や一般道を通過していた割合が約74%だった。

 だが、開通後は、圏央道を通過する割合が約95%になった。都心部を通過する交通量が大幅に減っている。

 このほか、圏央道の開通を見越して物流施設の立地が進展。海老名JCT(神奈川県海老名市)―久喜白岡JCT(埼玉県久喜市)沿いの大型物流施設は、09年から14年までに79件増加。延べ床面積は、09年から16年までに東京ディズニーランド約4個分の226万平方メートルまで増えた。

 その結果、東名高速から東北道間の圏央道沿線市町村の税収が増加するといった効果も生まれている。
17年2月に開通予定の圏央道「境古河IC」付近(16年11月)


 こうした道路開通による効果は、全線開通から1年以上が経過した中央環状線でも出ている。渋滞の緩和や輸送時間の短縮、観光ツアーにおける買い物客の滞在時間の延長など、波及効果は大きい。3環状道路がすべてつながれば、そのメリットはより大きくなる。

 重要なことは、企業や自治体が生産性向上や観光客誘致など、道路網を生かしたさまざまな取り組みや企画を構想、実施することだ。道路がネットワーク化されることで、これまでにない人の動きやサービス、物流システムの構築が可能だ。

 特に自治体にとっては、新たなヒト・モノ・カネを生むツールになる。道路網を整備する国は「地域活性化に向けて地元で工夫してほしい」(国土交通省関東地方整備局道路部道路計画第一課)と、自治体の取り組みに期待する。

 外環道は三郷南IC(埼玉県三郷市)―高谷JCT(仮称、千葉県市川市)と、大泉JCT(東京都練馬区)―東名JCT(仮称、東京都世田谷区)間が工事中だ。

 このうち、大泉JCTと東名JCT間では、地下トンネルを計画する。国内最大のシールドマシンを用いて、地上から40メートル以上の深さに長さ16・2キロメートルのトンネルを掘り進める。40メートルの大深度地下には、日本の最高水準のトンネル技術が投入される。
(文=村山茂樹)

2017年1月1日付日刊工業新聞
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
会社近くの日本橋川は、高速道路の蓋に覆われています。前回の東京五輪は突貫工事で後先を考えずに道路網を整備したため、高架の首都高速が都心の真ん中を曲がりくねりながら建設され、世界的にも希な奇観が生まれました。神奈川や千葉から埼玉方面へ抜けるのに都心を走るのも不条理の極み。次の東京五輪は将来を見据えインフラ整備をしてほしいものです。

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