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2017年ディスプレー業界を占う

有機EL、カギ握る“中華圏”。日本勢は「非スマホ」深耕
2017年ディスプレー業界を占う

JDIが試作した曲がる有機ELディスプレー


IHSテクノロジーのデービッド・シエ氏に聞く


 「7%増の市場成長予測」
 ―17年のフラットパネルディスプレーの市場予測をどう見ていますか。
 「スマホもテレビも需要が大きく、非常に良い見通しだ。価格下落や供給過剰の懸念も少なく、パネル全体で前年の面積比7%増の市場成長を予測している」

 ―有機ELパネル関連の動きが活発です。
 「米アップルが有機ELを採用する可能性は高いとみており、これを機に有機ELにシフトする流れは強まるだろう」

 ―中国では有機EL量産に向け、連携する動きがあります。
 「技術力強化と早期の量産開始に向け、スマホメーカーが中心になり、パネルメーカーと『有機EL連合』を作る動きがある。だが本当に機能するかは疑問だ。パネルメーカー同士の競争は激しい。連携するとなると互いの技術供与が必要だが、難しいのではないか」

 ―フレキシブルがキーワードとなる中、JDIの次世代液晶パネルの可能性は。
 「樹脂基板に影響を与えない低温プロセスが可能か、部材メーカーがどこまで対応できるかが量産の課題だろう。中国の有機ELパネルが立ち上がる19年頃までにフレキシブル液晶を量産できれば、競争力になり得る」

 ―その他の注目ポイントを教えて下さい。
 「テレビではサムスン電子と中国メーカーが、色再現性の高い量子ドットディスプレーに注力している。またソニーやパナソニックが有機ELテレビに参入するなど、テレビの技術競争が激しくなっている点を注視している」
                   

(聞き手=政年佐貴恵)
日刊工業新聞2017年1月1日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
限られた経営資源の中で、それぞれの戦略のバランスをどう取るのか、最適な配分が問われる。17年は安定経営化と今後の成長に向けた足場固めをする重要な年となりそうだ。

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