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デジタル化で複雑な港湾業務をスマートにするロサンゼルス港の挑戦

GEのソフト活用し船のデータ、貨物、人を効率的に動かす
デジタル化で複雑な港湾業務をスマートにするロサンゼルス港の挑戦

ロサンゼルス港に停泊中の貨物船


全米の他の港湾に拡大も


 ロサンゼルス市港湾局のエグゼクティブ・ディレクターであるジーン・セロカ氏は、このパイロット・プロジェクトを立ち上げるために1年以上かけて関係者全員をまとめてきた。プロジェクト・チームでは、いくつものデータベースからテラバイト単位のデータをセキュアな方法で集積する必要があった。

 またGEともブレインストーミングを行い、データの持つ意味を理解し、リアルタイムかつ包括的なインサイトを、タイミングよく、しかるべき担当者に提供するためのダッシュボートを構築した。「目まぐるしく変化する船舶輸送情勢に遅れをとらないよう、港湾業務の運営も進化させなければいけない」とセロカ氏。

 効率化以外のメリットもある。ボドナー氏によれば、港湾業務の効率が高まれば、エンジンをアイドリングさせたトラックの数も減らせるので、環境負荷を削減するのにも役立つという。

 今回のプロジェクトが成功すれば、全米の他の港湾にも拡大していく可能性がある。世界が繋がれば繋がるほど、船舶は巨大かつ複雑になる。アジアと米西海岸の間を運行するコンテナ船の平均的なサイズは、この2年間で14%大きくなっており、海運の貨物取扱量は世界貿易のおよそ90%を占める。

 シェプフェル氏は「今回のパイロット・プロジェクトは、この種のソリューションとしては初の試み。もしこれが成功すれば、その先の可能性は膨大」と語り、来年からスタートするプロジェクトに大きな期待を寄せている。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
とても興味深い取り組み。工場のスマート化より、はるかに波及効果がありそう。港湾はさまざまな利権がからむだけに、パラメーターの設定は難しいと思うが。

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