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パナソニック、完全自動運転の超小型EV開発へ。1-2km程度の移動手段に

2020年めど。中低速域に有用な技術を重視
パナソニック、完全自動運転の超小型EV開発へ。1-2km程度の移動手段に

パナソニックが開発中の自動運転システムの検知イメージ

 パナソニックは2020年にも、スマートタウンなど限定エリア内の移動手段向けに完全自動運転の超小型電気自動車(EV)を製品化する。自動車メーカー向けに開発する自動運転システムを応用し、市街地の一定エリアや商業施設敷地内などで区間往復する人や荷物の運送サービス事業など向けを想定する。自動車メーカーと競合しない1キロ―2キロメートル程度の移動手段を狙う。

 システム開発では車載カメラや強みの画像処理技術、人工知能(AI)のディープラーニング(深層学習)などを用いて自動運転する小型試験車を複数台、製作した。時速40キロメートル以下の走行をメーンとする。

 すでに自社のテストコース(横浜市都筑区)で試験走行を始めた。16年度内には公道に近い環境がある本社・西門真地区(大阪府門真市)で実験に入り、17年度中の公道試験も計画する。

 自動車や大手部品メーカーは高速域の自動運転実現に向け、前方検知へ特に注力する。一方、同社は前方に加え、側面や後方検知を重視した中低速域に有用な技術も重視。渋滞時や人で混雑する場所でも安全を確保しつつ走行できるようにする。後方から高速で追い越そうとする車の検知機能も開発する。

 さらに周囲の人や自転車などの動きも予測。夜間や大雪、濃霧でも人や自転車を高精度に検知する。側面と後方の10メートル範囲を重点検知し、中低速での事故をなくすのが目標だ。

 新たに実験を始める本社・西門真地区は甲子園球場10個分の広さで道路やトンネルもある。数千人の従業員が働き、自転車なども行き交う。電柱にすでに設置してある小型カメラや歩行者が持つ特殊な通信端末と試験車が通信し、安全運転を支援する路車間や歩車間通信も実証する。

 培った自動運転技術は農業機械や鉱山用ダンプ、物流施設向け車両などへの無人走行システムとしても提案する。

ファシリテーター・安東泰志氏


 自動車メーカーと競合しない、1~2キロという近距離の人口密集地帯での自動運転。高齢化社会では、意外にこちらの方がニーズが高いかも知れない。また、将来的に自動車メーカーも高速道路から市街地に戦線を拡大するであろうことから、コラボレーションの余地もあろう。


日刊工業新聞2016年11月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
培った自動運転技術は農業機械や鉱山用ダンプ、物流施設向け車両などへの無人走行システムとしても提案するという。2020年に間に合えばオリンピックでよいプロモーションになる。パナソニックならいつでもEVを作れそうな要素技術を持っている。日立もそうだろうが自社の車載ビジネスを考えると、本気で量をさばくつもりはないだろう。構成技術、デバイス、サービスの外販が狙いではないか。

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