工具が面白い!「JIMTOF」で常識打ち破る新提案続々
今日まで「JIMTOF」。形状や材質に工夫、顧客ニーズに応える
多くの素材、切削可能
OSGはJIMTOF開催に合わせて発売した「超硬ADドリル」をアピール。高い対摩耗性と耐熱性に加え、じん性にも優れる「イージアスコーティング」と、切りくずの排出性を向上させた溝形状で低炭素鋼から炭素鋼、合金鋼、ダクタイル鋳鉄といった多様な素材の切削に対応させた。
また、先端が平らなフラットドリルも紹介。あける穴の先が平坦になるので、タップ工具と併用してねじ切りをする場合、穴の底のギリギリの所までネジを立てられる。
(「超硬ADドリル」をアピールするOSGのブース)
砥石(といし)業界で目立ったのが、歯車向けの提案だ。最大手ノリタケカンパニーリミテドは、ネジ形状の大型砥石で複数の歯を連続で研削する「創成研削」用の砥石を五つ並べた。
中でも珍しいのが、一つの砥石にビトリファイド(セラミック系結合材)の部分とレジノイド(樹脂系結合材)の部分がある創成砥石。それぞれ粗い砥粒と細かい砥粒を使っており、1本の砥石で粗加工から仕上げ加工までカバーできる。
ニートレックス(愛知県武豊町)は、歯車の表面を精密仕上げする砥石「ギアフィニッシュ」を出品した。立方晶窒化ホウ素(CBN)を塗布した研磨布を積層し、創成砥石状に仕上げた。
触るとふわふわしており、独特な感触。ちょうどバフ研磨のようなイメージで、歯の表面を2―3マイクロメートル(マイクロは100万分の一)とごく微細な量だけ削り取るという。エーアイ・マシンテック(愛知県安城市)の歯車研削盤「歯磨きさん」と組み合わせて自動車メーカーに売り込みを進めている。
歯車向けの砥石が目立ってきた理由について、ニートレックスの武田幸久社長は、「車の燃費や静粛性を巡る競争が激しくなるなかで、変速機の歯車の仕上げ加工に注目が集まっている」と説明する。
(ノリタケカンパニーの歯車研削用創成砥石)
日刊工業新聞2016年11月21日