IKEA、ユニリーバに続け!「脱炭素」でクールな日本企業は
パリ協定を積極的に支持。欧米はビジョンを方向性と考えている
アスクル、商用EVを配達に導入
アスクルは7月、顧客や調達先を招いた「環境フォーラム」を初開催し、「30年CO2ゼロチャレンジ」を発表した。亀井一行CSR総務統括部長は「パリ協定で社会からの要請が低炭素から脱炭素へ変わった。30%減や50%減は中途半端だ」とゼロを目標とした理由を説明する。
取引先が集まる場での公表は「企業間連携の可能性を考えるため」(亀井部長)だ。同社はメーカーではないため、排出削減に関与できる余地が限られる。フォーラムで岩田彰一郎社長は「最新テクノロジーをフル活用したCO2削減」を取引先に呼びかけた。
すでに日立製作所と協業し、人工知能(AI)を利用して最適な配送ルートを割り出している。日産自動車の商用電気自動車(EV)12台も活用し、配送時のCO2排出削減を追求する。日立や日産はアスクルが実践で使ったデータを得られ、開発に反映できる。ゼロという大胆な目標設定が最新技術の開発を後押しし、アスクルは導入で先行できる。
同社は流通のムダを排除するビジネスモデルを追求して創業した。配送のCO2削減はムダの低減につながるのでビジネスモデルと一致し、事業基盤を強化できる。「パリ協定は企業が強くなるチャンス」(亀井部長)と期待する。
(アスクルが導入した商用EV)
(文=松木喬)
日刊工業新聞2016年11月7日