世界最大の工作機械見本市、間もなく開催!見どころを紹介します
11月17日から「JIMTOF2016」。次世代モノづくりが見えてくる
積層造形で超大手の新規参入も
現在、AM製品の開発に成功し、販売している工作機械メーカーは、松浦機械製作所、DMG森精機、ヤマザキマザック、ソディックなどだ。さらに三菱重工業や東芝機械が国家プロジェクトで開発中だ。
新型機の出展としては、ソディックの大型金属3Dプリンターがある。「OPM350L」で最大350ミリメートル角の出力ができる。2年前の前回JIMTOFで発表した第1弾製品は同250ミリメートル角だった。質量は従来比3倍の300キログラムまで対応する。複数のレーザーを用いるため、大型の造形物であっても高速造形できる特徴がある。
海外メーカーで金属3Dプリンターに本格参入するのが、板金機械大手の独トルンプだ。自社製のファイバーレーザーを搭載する装置で100ミリメートル角の出力ができる。
前述の通り、大手の主要メーカーが金属3Dプリンターを販売している。ドイツ勢が開発で先行し、米GEが自社装置への採用を本格化している。このほど金属3Dプリンターメーカー欧州2社の買収を発表するほどの熱の入れようだ。こうした現実の中、これまで未参入できた工作機械大手がJIMTOFで製品発表しそうな雰囲気がある。
(盛況だったIMTS(米シカゴで9月に開催))
工作機械自身も進化している
今回のJIMTOFでは、IoTに限らず、工作機械そのものの技術の進歩も当然見られるだろう。
シチズンマシナリー(長野県御代田町)は自動旋盤の切りくず排出を工夫する技術「低周波振動切削(LFV)」の搭載機種を増やす。2013年に素形材加工のチャッカー機に採用、ことし4月に主力の自動旋盤「L20」に搭載し、発売した。JIMTOFでは小径ワーク向けの自動旋盤「L12」のLFV仕様を披露する。
LFVは、加工時に工具を振動させ、切りくずを細かく分断して排出する仕組み。工具、加工対象物(ワーク)に切りくずが絡みにくく、ワークの傷付きを抑制できる。装置内に貯まる切りくずの体積を半分以下に減らせるため、長時間の連続無人稼働に向く。
一方、ことし10月に台湾の友嘉実業集団の傘下に入った新日本工機。出展する新型機は、1分当たりの切りくず排出量を従来比2倍に増やした門型5面加工機だ。出力同2倍の1200ニュートンメートルの主軸モーター、主軸周りを構成するラムに高強度材料の使用、コラムを四角柱にすることなどで高性能化した。
過去最大の出展規模になるJIMTOF2016。モノづくりの転換期だけに、明日の製造業を占う見本市として、重要度が高まっている。
日刊工業新聞2016年11月1日