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NHK『超絶 凄ワザ!』人類はその力だけで、どこまでスピードを出せるのか

最速自転車プロジェクト世界大会、いよいよ今日クライマックスへ
NHK『超絶 凄ワザ!』人類はその力だけで、どこまでスピードを出せるのか

走る車体


熟練度が課題


 一方、量産を担うタイ拠点のカーボンマジック(タイランド)では新工場の建設が進む。安藤社長は高温・高圧で焼き固める成形設備のオートクレーブ(AC)が前提になるとした上で、「積層工程など効率を高めるため、熟練度を上げる必要がある」と課題を話す。

 従来、炭素繊維は欧州メーカー製品が超高級車に採用され、現地には関連の加工メーカーが多い。日系メーカーは炭素繊維の供給では圧倒的なシェアを握るものの、国内では中間加工業者がそれほど育っていない。

 安藤社長は今後、炭素繊維が普及するポイントを「要求される性能と上限コストのバランス」と表現する。その中で「顧客ニーズに最も適しているのがACだが、用途に合わせて多様化していく」(同)とみており、扱う材料や成形方法など試行錯誤は続きそうだ。

 例えば、「熱可塑性樹脂を使った研究も検討テーマの一つ」(同)になる。あらゆる材料を駆使し、アルミなど競合する素材の中から炭素繊維を選んでもらえるか。本格的な普及に向け、地道な挑戦が続く。

※肩書き内容は当時のもの

日刊工業新聞2015年6月11日の記事に一部加筆



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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今年のリオデジャネイロ・パラリンピックの100メートルリレー日本代表のアスリート向け義足に東レグループのPAN系炭素繊維「トレカ」が採用されている。また東レ・カーボンマジックは複合材料において国際航空宇宙産業の特殊工程認証制度「Nadcap」の認証も取得。宇宙分野への道も開けた。『超絶 凄ワザ!』での挑戦はエンジニアへさらに励みになっただろう。

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