ホンダ、タカタから他社への切り替え年内完了

ダイセルなどのインフレーター確保。最大顧客の受注失い再建計画に影響も

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ダイセルが製造しているインフレーター
 ホンダは現在生産する全車両のエアバッグ部品「インフレーター」(ガス発生装置)について、2016年内にタカタ製から他社製への切り替えを完了する。火薬の劣化を防ぐ乾燥剤を使用したインフレーターを含めスウェーデンのオートリブやダイセルなど他社製品を確保した。タカタは最大顧客となるホンダから受注を失うことで、インフレーター事業の縮小を含めた大幅な見直しを迫られる。

 ホンダはタカタ製エアバッグの破裂事故以降、他社製インフレーターへの切り替えを進めてきた。現在は運転席側で8%、助手席側で1%未満の生産車でタカタ製インフレーターを搭載する。これらの車種を16年内にモデルチェンジするのを機に、すべての車種が他社製に切り替わる。

 米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)とタカタはエアバッグを膨らませる火薬に「硝酸アンモニウム」を採用し、乾燥剤を使用していないインフレーターを段階的にすべてリコール(回収・無償修理)することで合意。乾燥剤を使用したインフレーターはこれまで破裂事故が起きていないが、NHTSAは19年末までに安全性を証明できなければリコールする方針を示す。

 ホンダは安全性の確認を終える前に他社製インフレーターの調達にいち早くめどをつけ、消費者の安全や安心を確保する。一方で、インフレーターなど部品を組み合わせたエアバッグモジュールやシートベルトは引き続きタカタから調達する。

 タカタはスポンサーを決め、経営再建策の策定を目指す。再建手法によっては部品の安定供給が滞る恐れもあり、ホンダはインフレーターの調達にめどをつけた後も再建策の行方を注視することになりそうだ。

日刊工業新聞2016年10月28日




決断迫られる車メーカー


 タカタの経営再建を巡り自動車メーカーが決断を迫られている。世界で拡大したエアバッグのリコール(回収・無償修理)費用はタカタ単独でまかない切れない規模に膨らむ。タカタはスポンサーを募り局面の打開を図るが、リコール費用を肩代わりする車メーカーの支援が欠かせない情勢だ。想定される再建手法も法的整理か私的整理で関係者の利害が異なるため、調整は難航しそうだ。

 「部品の供給が止まらないことが最も大事になる」。日系自動車メーカー幹部は、タカタから9月下旬に説明を受けたスポンサーの再建案について、新車に搭載する部品とリコールで交換する部品の安定調達が選定基準になるとの見方を示した。

 タカタ製エアバッグ部品「インフレーター(ガス発生装置)」のリコールを巡っては、世界で1億個以上に拡大し、その対策費用は1兆円規模に膨らむとされる。

 リコールの根本原因が究明されていないとしてタカタは第三者機関による調査を継続し、リコールにかかった費用は原則車メーカーが立て替えている。タカタの自己資本は6月末時点で1090億円。仮にタカタが一定の責任を認め、車メーカーから一斉にリコール費用を請求された場合、債務超過に陥る可能性が高い。

 一方、タカタは存続を前提とした再建策をまとめるため弁護士らで構成する「外部専門家委員会」を設置。財務アドバイザーに米投資会社のラザードを起用してスポンサーを募集した。

 9月に入札を締め切り、タカタにインフレーターを納めるダイセルと米投資ファンドのベインキャピタルの連合、米車安全部品大手のキー・セイフティー・システムズ(KSS)と米投資ファンドのカーライル・グループ連合、エアバッグ最大手でスウェーデンのオートリブなど5陣営が応札したとされる。


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COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

現在進行中のスポンサー選定では、私的整理ないし法的整理を通して、カーメーカーなどの債権者に債権放棄を求めるものと思われる。調達源の多様化を進めないと思わぬ痛い目に遭うという教訓になろう。一方、最大顧客ホンダの調達先変更が再建計画に与える影響も見極めなければならない。

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