MRJに空調システムを納める「UTCエアロスペース・システムズ」ってどんな会社?
今後はサプライヤー管理の重要性増す
サプライチェーン管理が改めて問題に
今、三菱航空機に改めて問われているのは、計95万点に及ぶ部品のサプライチェーンをいかに管理するかだ。ただでさえ、航空機部品を動かすソフトウエアは米国と欧州メーカーにほぼすべて押さえられており、日本人ならびに日本企業にに航空機開発の経験は少ない。
旅客機用の部品については、三菱航空機よりも部品メーカーの方が詳しい専門知識を有している。加えて、MRJを開発する三菱航空機の従業員は現在、約1600人しかおらず、うち2割ほどは米国を中心とする海外の航空技術者とみられるが、それでもやはりマンパワーは足りていない。
今回、発露したのはたまたま空調システムの問題だが、今後の試験で何らかのエラーが出るたび、原因の究明や、解決策の立案、実行にはどうしても海外の経験者の意見が必要になる。
あくまでたとえ話ではあるが、次は操縦系のシステムで何か起きるかもしれない。さらに次は、降着システムかもしれない。新参者の三菱航空機にとって、飛行試験で生じうるすべての問題を事前に想定することはほぼ不可能に近く、問題が起きた時に自分たちだけで解決する余地もそれほど大きくはないのである。
こうした中で、三菱航空機にできることは何か。それは、試験で把握した問題点や改善項目を、いかに迅速に、効率的に反映するかだ。また(最近の旅客機では割とよくある)個々の試験の遅れによる開発日程全体の練り直しを速やかに判断することも重要だ。
足元の試験が遅れているのに、納期遅れを気にしてスケジュールを圧縮するのでは、結果として現場にプレッシャーがかかる。海外のサプライヤーが聞き入れるかも不透明だ。MRJに関わるサプライヤーの幅広さを考慮しても、開発状況をできる限りオープンにすることが求められる。
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