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自治体の包括提携ブーム、今度は宅配便

大阪府とヤマト運輸、佐川急便が協定締結
自治体の包括提携ブーム、今度は宅配便

「もずやん」がプリントされた段ボール箱

 大阪府は10日、ヤマト運輸、佐川急便と包括連携協定を結んだと発表した。府が運輸・物流企業と包括連携協定を締結するのは初めて。観光分野で訪日外国人向けの配送サービスを提供するほか、女性の活躍推進、広報活動など幅広い分野で協力する。これまで府は両社と災害時の救援物資の配送などで協力していたが、新たに包括連携協定を締結し、地域の活性化と府民サービス向上を図る。

 佐川急便とは、訪日外国人向けサービスとして「手ぶら観光」を推進する。同社は観光客の荷物をホテルまで配送するサービスの拠点を、現在のJR大阪駅に加え、難波や新大阪などにも増やす。

 さらに女性の活躍推進に向け、府の就業支援機関で、現場で働きたい女性に佐川急便での職場体験などを紹介する。同社としては女性配送スタッフを増やし、男性ばかりの職場というイメージを払拭(ふっしょく)する狙いがある。

 ヤマト運輸とは、府のマスコット「もずやん」がプリントされたご当地送り状、宅配用段ボール箱を作成し、府内から全国に配送する荷物で大阪をPRする。送り状はまず4万部作成し、10月から販売する。また大阪の特産と認定を受けた「大阪産(もん)」の海外出荷でも協力する。

 締結式でヤマト運輸の北村稔常務執行役員関西支社長は「荷受けだけでなく、さまざまな形で地域密着のサービスを展開していきたい」、佐川急便の笹森公彰取締役は「協定を機会にこれまで以上に地方創生の取り組みを推進したい」とそれぞれ期待を示した。
日刊工業新聞2016年8月11日
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
民間の力も活用しながら社会問題を解決しようという狙いから、自治体と企業などとの包括提携が相次いでいる。コンビニエンスストアや金融機関などが一般的だが、業種もどんどん拡大し、今回は物流会社。いったいどこまで広がっていくのだろう。ただ個人的に一番印象に残ったのは「もずやん」。大阪府広報担当副知事とのことですが、まったくその存在を知りませんでした。

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