【連載】挑戦する地方ベンチャー No.8 グリーンコンチネンタル
植物の造形美・機能美を追求、心地の良い空間演出
植物IoTの実現を目指す
中村氏にはもう一つ、植物にかける思いがあった。植物が人間に与える効果を活用する「機能美」だ。「新たに健康や医療、スポーツなどの分野もターゲットにできる」と話す。
「森林浴」と言われるように、緑に囲まれた環境では人は心地よく感じる。その効果を研究しようと、植物が人間に与える影響の計測に取り組む。植物は湿度によって葉の気孔が開いたり閉じたりして、植物内の水分を調整する。このような植物の仕組みを生かし、葉にセンサーをつけることで室内の環境が感知できる。
2016年3月に開かれたNTT西日本のビジネスプランコンテストで「各種センサーを駆使し植物IoTの実現を目指す」というテーマで、最優秀となるベスト・アライアンス賞を受賞した。植物から感知した湿度や二酸化炭素量、光量、風量などの室内環境のデータを、人間の体調や動きの測定値と組み合わせて、健康管理などに活用する。センサー基盤は大学と共同開発した。データはスマートフォンなどで表示でき、リラックス効果などを可視化できる。
この“植物IoT”の取り組みは、同年7月に大阪市中央区の美容院「morinoma」に初めて導入された。森林浴効果を客や従業員が体験でき、美容と健康に対する満足感向上につながる。中村氏は「あくまでIoTは手段。当社の植物や空間演出という商品の力で、人間の健康につなげていくための指標にする」と話す。
<大型ハンギング植物を導入した美容室>
今後はデータを蓄積して、本格的な事業展開へつなげる。「植物IoT事業は将来、当社の柱の事業にしたい」と考えており、2017年度に売上高5億円を目指す。
観葉植物とIoTという新しい手法を生み出したグリーンコンチネンタル。人々の生活を豊かにするため、植物を活用した事業を推進していく。
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