【連載】挑戦する地方ベンチャー No.8 グリーンコンチネンタル
植物の造形美・機能美を追求、心地の良い空間演出
光がたっぷりと注ぐ、海をのぞむ場所に建つグリーンコンチネンタルの温室。船の発着ターミナルだった大阪市の遊休資産をリノベーションした。さまざまな植物とともに、ランニングマシンやバランスボールもある。緑に囲まれた環境でウオーキングなどの運動をする効果を調べるために、血圧などを測定している。
<グリーンコンチネンタルの温室>
グリーンコンチネンタル社長の中村壮博氏は「植物の造形美に加えて機能美も追求し、新しい価値や世界観を作り出したい」と話す。インテリアショップを通じて洗練された樹形の観葉植物を販売したり、緑化などの空間演出をしたりする植物の「造形美」。そしてセンサーなどの技術と組み合わせて植物を活用する「機能美」。この二つをテーマにする。
<グリーンコンチネンタルの温室内での中村社長>
豊田通商に勤めていた中村氏。仕事での出会いを通じて可能性を感じ、中国のオーガニック肥料の輸入販売をする会社を2012年に立ち上げ、独立した。約3万~4万年前に堆積した植物の地層の土を使った粒状の肥料で、通気性や水はけ、栄養のバランスがよく、植物がよく育つという。「オーガニック粒状培養土」としてメーカーにOEM(相手先ブランド)供給した。しかし同年秋に尖閣諸島問題が勃発。肥料の輸入業ができなくなってしまう。
そこで「必死の思い」で植物の生産と販売を始めた。全国の契約農家で、樹形のデザインにこだわったさまざまな観葉植物を栽培する。中村氏は「売るのは付加価値が高い観葉植物」と差別化を図る。一般的なガーデニング市場は大きくなく、既存と同じビジネスモデルでは成長は見込めない。そこで「アパレルや住宅、ウェディングなど、植物を扱う需要があるが具体的手法が今までになかった業界」をターゲットとした。
同年11月には神戸市中央区に小売店舗「グラビティ」をオープン。尖閣諸島問題から約2カ月。素早い行動だった。グリーンコンチネンタルの創業メンバーには、インテリア関連の書籍も出版する“カリスマ主婦”の政尾恵三子氏がおり、そのインテリアセンスを発揮。天井からつるす5メートルもある大型ハンギング植物などの現代的な観葉植物を、アンティーク雑貨などと共に飾った。緑あふれるおしゃれな店内は、開店と同時に人気雑誌から取材を受ける。口コミもあって瞬く間に話題になり、中村氏は「ハンギング植物ブームのきっかけになった」と話す。
そして有名インテリアショップ「アクタス」から、植物を扱いたいと依頼が来た。ただ、デリケートな観葉植物は店舗の空調や採光などでは枯れてしまうこともある。そこで生まれたのが、アクタス店舗に置く観葉植物のメンテナンスを月額の定額料金で請け負うサービスだ。店舗側は雑貨とともに観葉植物を置くことで、インテリア効果もあるほか、客にライフスタイルをまとめて提案でき、雑貨の販売にもつながる。週に2~3回は店舗へ行き、販売スタッフ向けに植物の扱い方の研修もする。
<観葉植物をおくアクタス店舗>
緑の植物があれば、空間の雰囲気はがらりと変わる。写真スタジオや美容室、結婚式場、イベントなどで植物を効果的に飾る演出を提供する空間演出事業も行う。売り上げに占める割合は、植物の卸売業が3割、空間演出事業が7割だ。最近は天井が高い建物が増えたことで、スペースが空く天井からハンギング植物をつるして演出するなどの需要が増えているという。大阪、神戸の店舗は空間演出手法のショールームとしての役割も果たしている。
中村氏は「店舗開店後、売上高は毎年倍々で来ている」と成長の手応えを話す。観葉植物の「造形美」を活用した事業を軌道に乗せたグリーンコンチネンタル。植物の力はこれだけではない。「機能美」を生かした事業にも取り組んでいく。
<グリーンコンチネンタルの温室>
「必死の思い」で植物の生産と販売開始
グリーンコンチネンタル社長の中村壮博氏は「植物の造形美に加えて機能美も追求し、新しい価値や世界観を作り出したい」と話す。インテリアショップを通じて洗練された樹形の観葉植物を販売したり、緑化などの空間演出をしたりする植物の「造形美」。そしてセンサーなどの技術と組み合わせて植物を活用する「機能美」。この二つをテーマにする。
<グリーンコンチネンタルの温室内での中村社長>
豊田通商に勤めていた中村氏。仕事での出会いを通じて可能性を感じ、中国のオーガニック肥料の輸入販売をする会社を2012年に立ち上げ、独立した。約3万~4万年前に堆積した植物の地層の土を使った粒状の肥料で、通気性や水はけ、栄養のバランスがよく、植物がよく育つという。「オーガニック粒状培養土」としてメーカーにOEM(相手先ブランド)供給した。しかし同年秋に尖閣諸島問題が勃発。肥料の輸入業ができなくなってしまう。
そこで「必死の思い」で植物の生産と販売を始めた。全国の契約農家で、樹形のデザインにこだわったさまざまな観葉植物を栽培する。中村氏は「売るのは付加価値が高い観葉植物」と差別化を図る。一般的なガーデニング市場は大きくなく、既存と同じビジネスモデルでは成長は見込めない。そこで「アパレルや住宅、ウェディングなど、植物を扱う需要があるが具体的手法が今までになかった業界」をターゲットとした。
同年11月には神戸市中央区に小売店舗「グラビティ」をオープン。尖閣諸島問題から約2カ月。素早い行動だった。グリーンコンチネンタルの創業メンバーには、インテリア関連の書籍も出版する“カリスマ主婦”の政尾恵三子氏がおり、そのインテリアセンスを発揮。天井からつるす5メートルもある大型ハンギング植物などの現代的な観葉植物を、アンティーク雑貨などと共に飾った。緑あふれるおしゃれな店内は、開店と同時に人気雑誌から取材を受ける。口コミもあって瞬く間に話題になり、中村氏は「ハンギング植物ブームのきっかけになった」と話す。
月額制の観葉植物メンテナンス
そして有名インテリアショップ「アクタス」から、植物を扱いたいと依頼が来た。ただ、デリケートな観葉植物は店舗の空調や採光などでは枯れてしまうこともある。そこで生まれたのが、アクタス店舗に置く観葉植物のメンテナンスを月額の定額料金で請け負うサービスだ。店舗側は雑貨とともに観葉植物を置くことで、インテリア効果もあるほか、客にライフスタイルをまとめて提案でき、雑貨の販売にもつながる。週に2~3回は店舗へ行き、販売スタッフ向けに植物の扱い方の研修もする。
<観葉植物をおくアクタス店舗>
緑の植物があれば、空間の雰囲気はがらりと変わる。写真スタジオや美容室、結婚式場、イベントなどで植物を効果的に飾る演出を提供する空間演出事業も行う。売り上げに占める割合は、植物の卸売業が3割、空間演出事業が7割だ。最近は天井が高い建物が増えたことで、スペースが空く天井からハンギング植物をつるして演出するなどの需要が増えているという。大阪、神戸の店舗は空間演出手法のショールームとしての役割も果たしている。
中村氏は「店舗開店後、売上高は毎年倍々で来ている」と成長の手応えを話す。観葉植物の「造形美」を活用した事業を軌道に乗せたグリーンコンチネンタル。植物の力はこれだけではない。「機能美」を生かした事業にも取り組んでいく。
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