「小売自由化」で電力とガス統合の可能性が。数社の「総合エネルギー企業」に収れんか
<情報工場 「読学」のススメ#11>『検証 電力ビジネス」(井熊 均 編著)
「日本の強み」を生かせるバイオエネルギーが将来有望
『検証 電力ビジネス』では、再生可能エネルギー導入の促進という、エネルギー市場が向かっている基本的な方向は間違っていないと強調している。そして、再生可能エネルギーは「太陽光」と「風力」を基本とするのが世界の趨勢であり、日本もそうするべきだとする一方で、有望なものとして「バイオエネルギー」を挙げている。ドイツでも、供給が不安定な太陽光や風力を補完するものとしてバイオマス発電を推進しているとのことだ。
日本でも、木質バイオマスを中心に、発電事業者が急増しているという。日本には林業の基盤があるため、燃料の供給体制が確立されている。そして、もう一つ、日本の強みを生かせるのが「廃棄物発電」だ。一般廃棄物処理に関しては、日本は世界でもっとも高度に普及しており、技術も発達しているからだという。
さらに言えば、「藻類バイオ」の研究開発も、日本では世界に先んじている。たとえば株式会社ユーグレナによるユーグレナ(ミドリムシ)の燃料化、筑波大学を中心とした「藻類産業創生コンソーシアム」による産官学連携研究などだ。
このような「日本の強み」を生かしたエネルギー開発、電力ビジネスを推進していくべきだろう。ドイツなどの先進事例を参考にしつつも、独自の技術開発や政策を進めていく。まずは、すべての産業を見渡し、自らの強みを冷静に再確認することから始めるべきではないだろうか。
(文=情報工場「SERENDIP」編集部)
井熊 均 編著 日刊工業新聞社
184p 1,800円(税別)>
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