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進化する羽田空港。来たる2020年に備え、もっと使いやすくなれるのか

進化する羽田空港。来たる2020年に備え、もっと使いやすくなれるのか

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国内線ターミナル―国際化に合わせ和食の新店舗


 また国内線を管理する日本空港ビルデングでは、国際化に合わせて新しい店舗を展開している。日本の伝統文化である「だし」にこだわった「Hitoshinaya(ヒトシナヤ)」と「cuud(クウド)」だ。場所は第1旅客ターミナル出発口付近。日本の『出口』でもある羽田空港で外観にもこだわり、日本および東京最後にして最高の思い出を演出する。


 ヒトシナヤは「あさごはん」「どんぶり」「らーめん」の集合店舗。外観は三つの町屋が一つの軒下に集うイメージで、老舗町屋が立ち並ぶ風景をほうふつとさせる。
 メニューは「現代の名工」を受賞した料理人、長島博氏の監修。7種類の伝統的なだしを使って調理した和食を展開している。舌で感じる日本の伝統文化は、外国人だけでなく日本人にも好評だという。
 特に「あさごはん」では、日本の朝食の栄養バランスのよさに着目。どの時間帯でも朝ご飯がたべれるようにという発想から「白粥」「鮭膳」「肉膳」を用意している。

 またクウドはカレーうどん専門店。長島氏監修・指導の下、だしにこだわったカレーうどんを提供する。「か」の文字が目立つのれんをくぐると、黒で統一された店内はだしとカレーのこうばしい香りで満たされている。汁の飛び跳ねを防止するナプキンも黒。店舗全体をスタイリッシュにデザインした。
 始めに食べるカレーうどんの売りは「からさ」。細目の麺にはカレーが絡みやすく、麵の甘みとスープの辛みを存分に楽しめる。ご飯もセットになっており、一つのスープで2度楽しめるのもうれしいサービスだ。
 追いだしは別の器で提供され、追加投入する形式。スープとだしを自分好みの割合にできる。辛みが抑えられ、最後の一滴まで飲みきれるすっきりとしたスープに変貌する。スタンダードのカレーうどんのほかトマトカレーうどんを用意。ハーフアンドハーフを頼めば両方を楽しめる。

跡地利用でクールジャパン発信


 さらに隣接地の活用も進む。「アジアヘッドクオーター特区」および「東京圏国家戦略特区」の区域に指定されている「羽田空港跡地第1ゾーン」に2020年、「新産業創造・発信拠点~HANEDAゲートウェイ~」が形成される。東京都大田区と民間企業で官民連携し、京浜急行空港線天空橋駅近辺に「産業交流施設」と「クールジャパン発信拠点」を整備。先端産業事業と文化産業事業の促進を柱とした取り組みを展開する。

 「産業交流施設」には「研究開発ラボ」や「ベンチャー向けオフィス」、「交流スペース」などを整備する。医療や航空機など先端産業分野に挑む企業や技術系ベンチャー企業の誘致を図るほか、区内企業を含む企業間交流の活性化を図り、イノベーションの創出を促す。こうした取り組みで羽田ブランドを構築し、世界を席巻していきたい考えだ。
 また「日本再興戦略2016」において、羽田空港跡地は「クールジャパン発信拠点」と位置づけられた。これを踏まえ、日本の魅力をアピールする機能を整備する。
 今後同区は、10月下旬に事業者の募集要項を公表する。2017年3月に提案書提出を受け、同年5月に事業者を決定したいとしている。
 再国際化により、日本の玄関として注目が集まる羽田空港。国内外の人・モノを運ぶ拠点として、そして観光拠点として。空港周辺の施設も含め、進化し続ける。
日刊工業新聞2016年7月29日特集
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
東京だけでなく、日本の玄関としての役割を高めつつある羽田空港。夜遅く羽田に着く便だとそこからの交通手段がなくなることがあり、終バスに間に合うよう死にもの狂いで走ったことが何度もありました…。羽田まわりのインフラ整備もぜひ進めてほしいです。

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