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自動運転時代のキー技術をデンソーの研究開発から読み解く

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自動運転時代のキー技術をデンソーの研究開発から読み解く

講演する加藤氏


「クルマから人への情報伝達」もカギに


 一方、加藤氏は今後、クルマと人との情報のやりとりをする「ヒューマン・マシン・インターフェース」(HMI)の重要性が増してくるとみている。例えば自動運転モードで走行している際、ドライバーが寝たり、注意が散漫になっていたりすると、手動運転に戻した瞬間に事故を起こす可能性がある。自動運転車ではドライバーの状況をクルマ側が確認しなくてはならないのだ。

 ではクルマはどうやってドライバーをみるか。デンソーが研究開発しているのは、ドライバー前方にカメラや投光器を設置し、そこからドライバーの顔を検出するシステムだ。具体的には、左右の目と鼻の周辺を結んだ三角形を描き、顔の筋肉の動きを見る、というもの。これによって、ドライバーが笑っているのか怒っているのか、はたまた眠くなっているのかなどを推定する。眠そうだと判断したら警告を出すなどする。

 もうひとつ、加藤氏は、必要な情報をフロントガラスなどに投影する「ヘッドアップディスプレイ」(HUD)も重要になってくる技術だという。人の視野には「中心視野」と「周辺視野」があり、周辺視野はぼやっとしか見えていないが、そこにあるものが動いたり点滅したりすると分かるという。現在のクルマではHUDに速度などを表示するものがあるが、今後は下り坂で斜度がある程度分かるように線を表示することなどを考えているという。

自動運転技術は今後、どう進むのか


 自動運転の技術は今後、段階的に進んでいくという見方が多い。ドライバーが何らかの形で主体的に運転に関わるレベルから、最終的にはまったく関与しない完全自律型までが想定される。

 講演の最後、質疑応答で会場からテスラ車が起こした事故について問われた加藤氏。事故へのコメントは避けつつ、自動運転システムの開発は非常に慎重に進めていることを明かした。「自動運転という名前のついたシステムで事故が起きることは、高度交通支援システム(ADAS)を出した時から想定しており、事故の可能性を極力減らすという方針でやってきた。世の中に出す前に200万キロメートル以上の走行実績を積んでいる。いま我々がやっているのはすべてドライバー主権のシステムです」。

 クルマは今後、レーダーやHUDなどの搭載が進み、徐々に高機能化していく。その意味では、航空機のように高度なシステムの集合体になっていくと考えられる。自動運転技術は競争が激しくなり、日進月歩で進んでいる一方、事故時の責任の所在をめぐる論争は決着していない。デンソーをはじめとするメーカー側も、非常に慎重な姿勢で研究開発を進めているようだ。
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日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 キーワードをざっくりとまとめました。部分的な運転支援にとどまらない「完全自動運転」を実現するには、まずは車を航空機のように高度化させないと安全性を担保できないのではないかと思います。一方で、高速道路などで「自動運転専用レーン」を設ければ、意外とすぐに実用化できるのではないか、とも思います。しかしそうなると鉄道の方が有利か・・・。  要素技術を磨きつつ、制度など全体をガラリと変える発想も必要ですね。

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