英航空ショーに果敢に挑んだ中小企業の収支決算「まずは世界を知ることから」
技術アピールよりも来場者との交流を意識
15―20%のコスト低減要請
ここにきてサプライチェーンの高度化が進むのは、航空機産業の受注量が増えて部品をたくさん作る必要があるのに加え、顧客からの強いコストダウン要請も関係する。米ボーイングと欧エアバスの受注競争が激しくなり、販売価格の値引き幅が拡大している。
関係者によれば、ボーイングは20年の就航を目指す次世代大型機「777X」の生産で、三菱重工や川重に対して現状から15―20%のコストダウンを求めたという。
こうした中で開かれた12月中旬のクラスターフォーラム。非公開の会合では、企業団体の中でも製品の品質についてどの会社がどう保証するのか、発注書の管理といった間接業務をだれが負担するかなど、具体的な課題を話し合ったもようだ。
生産額伸び続くも・・
日本航空宇宙工業会(SJAC)がまとめた国内大手24社の生産額見通しによると、2015年度の日本の航空機関連生産額は1兆7675億円と過去最高になる見通しだ。16年には日本企業が機体の35%、エンジンの15%を生産するボーイングの中大型機「787」の月産機数が現在の10機から12機に引き上げられる予定。17年からは777Xの試験機製造も始まる。生産額の伸びは続くと見られる。
一方で、東南アジアなど新興国も航空機産業を強化しており、高コスト体質から脱し切れなければ、金属加工などの仕事が海外に流れる恐れもある。日本企業にとっては一貫生産体制の構築で需要増をさばけるかどうかが、将来の競争力を左右しそうだ。
(文=名古屋・杉本要)
日刊工業新聞2016年7月22日