空の覇権争う・独ルフトハンザの戦略(中)中東勢と競合

深まる航空連合の連携

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世界の航空市場は、覇権争いがますます激しくなっている。航空会社が国境を越えて、資本提携する動きも活発だ。ドイツのルフトハンザドイツ航空は、2000年代に欧州各国の航空会社を傘下に入れ、欧州最大の航空会社となり、フランクフルト、ミュンヘンをハブに路線を拡大。16年4月にはミュンヘン空港に自ら出資したサテライトターミナルを新設し、着々と基盤を拡充する。(3回掲載)

<空の覇権争う・独ルフトハンザの戦略(上)ミュンヘン増強−ハブ空港に重点投資>

ネットワーク拡大


 欧州は2000年代半ばまで、1カ国に一つの航空会社があった。だが、過当競争に耐えきれず、次々と経営破たんした。ドイツのルフトハンザドイツ航空はスイスインターナショナルエアラインズ、オーストリア航空などを傘下に収め、フランスのエールフランスもオランダのKLMオランダ航空と提携し航空会社を共同経営している。欧州はルフトハンザと、エールフランスKLMの2強に集約されるところまで、淘汰(とうた)が進んだ。

 ここ数年は、原油価格の上昇で、エミレーツ航空、エディハド航空など、中東の航空会社が台頭。エディハドがイタリアのアリタリア航空に出資するなど、ネットワーク拡大や資本提携などで、アジアから欧州への旅客需要を狙った戦略を推し進め始めた。ルフトハンザの競争相手は、欧州から中東に移っている。

中東の航空会社は独自路線貫く


 その中東勢が進めている施策がハブ空港に旅客を集め、そこから目的地に運ぶ「ハブ&スポーク」だ。中東勢は政府の後ろ盾で、ハブ空港のターミナルを増強。ミュンヘン空港はこれに対抗する拠点とすべく、ルフトハンザが投資を惜しまずに拡充したものだ。

 現在、世界の航空市場は航空連合を中心にネットワークが構築されている。ルフトハンザや全日本空輸(ANA)が加盟する「スターアライアンス」のほか、日本航空が加盟する「ワンワールド」、米デルタ航空が中心となっている「スカイチーム」の三つ。エミレーツ、エディハドはいずれの航空連合にも加盟せず、独自路線を貫いているため、各航空連合は中東と競合すべく、連携を強める。

 ただ、過度に航空連合の連携が強まり、実質、三つの航空連合と中東の競争になれば、航空券の価格が高止まりする可能性もある。成田空港も航空連合によって、ターミナルが分かれている。だが、あまりにも排他的になると路線がなくなったり、乗り継ぎが不便になったりすることも考えられる。

「1国1航空会社」の失敗を教訓に


 航空市場はこれまでの歴史の中で、「1国1航空会社」の失敗を教訓に、現在の航空連合中心の形にシフトした。一方、ANAが5月、スカイチームに所属するベトナム航空への出資を決定し、国境と航空連合の枠を超えた資本提携も珍しくなくなるなど、航空市場の競争は日々混沌(こんとん)としている。各社各様の戦略が、果たして正しいのか。その解を得るには、もう少し時を待たねばならない。

日刊工業新聞 2016年06月10日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

高屋優理
編集局第二産業部
記者

航空会社のアライアンス(航空連合)は、3グループいずれも、全ての国や地域を網羅しているわけではありません。なので、例えば日本の航空会社が加盟していないスカイチームは、日本ではネットワークを作りにくい、という側面が出てしまうわけです。スカイチームには、ガルーダインドネシア航空やベトナム航空など、1国1社のフラッグキャリアもあるので、あまりに排他的になると、利用者の利便性を損なう可能性もあるのかなと、ミュンヘン空港を取材を通じて感じました。

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