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まるでアートのように新しい価値をつくり出す「成城石井」

<情報工場 「読学」のススメ#7>『成城石井の創業』(石井良明 著)

「効率」を第一に考えてはいけない


 アートと経営の両方の分野で活躍する米国人ライター、エイミー・ウィッテーカーが著した『Art Thinking』(2016年7月米国で発刊予定)には、ビジネスにアーティストの思考プロセスを応用する「アート思考」が紹介されている。今いるA地点から、先に見えているB地点をめざすのではなく、まだ存在しないB地点を創造するための思考法だ。

 成城石井は、既存の他のスーパーマーケットのやり方を参考にはしても、モデルや目標にすることはなかった。「高品質の商品を取り揃え、専門店より安く売るスーパー」という、これまでにない「B地点」をつくり出した。

 アート思考における「B地点の創造」は、「効率」を第一に考えていては成功しない。存在しないものをつくり出すには、回り道を含む、いく通りもの方法を試していかなければならないからだ。成城石井の仕入れ担当が「高品質のもの」を海外まで探しにいったり、信じられないほどのコストと手間をかけて「飲み頃ワイン」を提供したりといった取り組みは、言うまでもなく「効率」とはほど遠いものだ。

 また、アート思考では、俯瞰的な視点で「インテグリティ(全体性)」を捉えることが重要であり、そのためには精神的に余裕のもてる環境を整えることが大切だという。どんな分野であれ、成城石井の取り組みを参考に、一度「究極」をめざすアート思考を試してみてはいかがだろうか。成城石井で買ってきた“一流”のワインでも傾けながら。

(文=情報工場「SERENDIP」編集部)

『成城石井の創業』
-そして成城石井はブランドになった
石井 良明 著 日本経済新聞出版社
216p 1,500円(税別)
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冨岡 桂子
冨岡 桂子 Tomioka Keiko 情報工場
成城石井は、スーパーマーケットを運営する傍ら、2年前から新業態としてワインバー「Le Bar a Vin 52」の運営をはじめています。雰囲気が良く、質に対して値段もリーズナブルということで人気があるようで、現在は4店舗が展開されています。このワインバーで提供されているチーズなどは、実際に成城石井で購入できるものだそうです。ワインバーで気にいった人が、帰りに成城石井に立ち寄る循環もできているとのこと。成城石井が在庫として持っているワインをワインバーで活用することもできるでしょうし、普段は成城石井に通わない新たな客を獲得することもできるなど、相乗効果が高そうです。

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