熊本地震でスーパー・コンビニ、東日本大震災の教訓生かす

“ラストワンマイル”の配送になお課題

 日常生活を支えるインフラであるスーパー、コンビニエンスストア。4月14日、16日に最大震度7を相次いで観測した熊本地震では、熊本、大分両県の多くの工場や店舗が被災した。商品の生産や店舗の再開では東日本大震災での経験や、事業継続計画(BCP)が生き、大きな混乱は起きなかった。一方で課題として残ったのが、道路の寸断や渋滞による“ラストワンマイル”の配送の壁だった。

 東日本大震災直後は、燃料不足や買いだめが起きたことで店頭が品薄状態になり、関西地方にも波及するなど、需要と供給のバランスが大きく崩れた。熊本地震では被災範囲が東日本大震災に比べ限られていたという理由もあり、局地的な影響にとどまった。

水源を持つ重要性を再確認


 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は「東日本大震災の教訓が商品供給で生きた」と見る。傘下のセブン―イレブン・ジャパンは熊本県内の4工場で、おにぎりや総菜などを製造している。地震後すべての工場が停止したが、九州にある他の16の工場から熊本県内の店舗に商品を供給した。ファミリーマートも熊本県内の中食工場が被災したため、長崎、福岡両県での代替生産で対応した。

 セブン―イレブンはすぐに食べられるおにぎりや弁当について、生産アイテム数を絞るとともに納品数を増やした。

 「東日本大震災で感じたのは水源を持つ重要性」(ファミリーマート)。同社は2008年、湧き水をペットボトルに詰める工場を宮崎県に設けた。東日本大震災後に首都圏などで水不足が起きた際も、自社工場のため増産などがしやすかったという。12年には新潟県にも工場を設けた。熊本地震の被災地でも飲料水のニーズは特に高く、宮崎、新潟両県の工場から、支援物資として届けた。

休業店舗の外で販売


 経済産業省は地震発生後、小売り各社に店舗再開を要請した。ただコンビニの加盟店オーナーや小売店舗の従業員らも被災しており、復旧のための人手が足りない状況だった。セブン&アイ・HDは「東日本大震災でも同様の課題があった」として前震翌日の4月15日には、社員を現地に派遣した。他の小売業も本部社員らを集中的に送り、状況の把握や営業支援を急いだ。

 店舗には食品や日用品を求める人の長い列ができた。需要に応えようと、イオンは休業店舗の外の駐車場で、食品や日用品などを販売した。

 5月20日には橋の崩落やトンネルの不通で買い物が不便になった熊本県南阿蘇村で、車を使った移動販売を始めた。東日本大震災後にも仮設住宅への移動販売をしており、車を青森県から移送した。

 今も一部のスーパーやコンビニは休業や営業時間短縮を余儀なくされている。ある関係者は「熊本県は比較的地震が少ない地域という認識だった。もう一度店舗の耐震性を見直す必要がある」と語る。

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日刊工業新聞2016年5月31日

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日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
05月31日
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スーパー、コンビニ各社の災害への対応力は阪神大震災、東日本大震災などいくつかの災害を通じて確実に高まっているという感じがします。店舗の復旧支援、営業の継続、商品調達ルートの確保など災害の経験を積むごとに迅速化しているようです。ただ、がけ崩れや橋の崩落などで物流ルートの寸断はいかんともしがたく、ウ回ルートすら確保できないジレンマもあります。小売業によるヘリコプターの共同運航による共同配送なども一つの選択肢ではないでしょうか。

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