富士重が新車台の開発で詰め込んだこだわり。ユーザーからみて際立った存在へ

<追記あり>新しい計測技術、1000分の1秒単位で車両各部の動きを定量化

  • 0
  • 2
新車台を発表する吉永社長
 今年後半に発売する新型インプレッサへの採用を皮切り新しいプラットフォーム(車台)を順次適用する富士重工業。共通車台は競合他社も部品の共通化による製造コスト削減や生産効率化を目的に相次いで開発し導入しているが、これに対し「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」は車の特性を高めることを重視し、車台の開発に臨んだ。車の基本構造である車台を抜本的に見直せば、従来手法の延長線上では難しい大幅な機能アップが実現し、車の魅力を一気に底上げできると判断したからだ。

 目指したのはドライバーの意思通りに忠実に動き、安全に走行できる車台だ。実現に向けてまずフレーム、サスペンションなど各パーツの剛性を現行車比で1・7―2倍に高めた。曲げやねじりなどの力に対して車体がゆがまないため、ドライバーが急にハンドルを切った時のタイヤの反応が速く、走行中に強風などの影響を受けてもぶれずにまっすぐ走行できる。

 また重心を現行車比で5ミリメートル下げるとともに、引っ張り強度に優れたホットプレス成形材などの採用を広げた。低重心化と高強度材の合わせ技で車を操縦する際の安定性が増し、車体強度も現行車比で4割向上。衝突による衝撃からドライバーや乗員を守るという従来こだわってきた安全性能が一層高まった。

 SGPの開発で最も力を入れたのがコンピューター上でのシミュレーションだけでは分からない、走行中の車の変化をすべて可視化することだった。数百もの部品で構成されている車のどの部分で、力のロスが発生するかを割り出し一つひとつ解決していくことが、特に剛性を向上させるのに必要だったからだ。

 このため富士重は新しい計測技術を導入。1000分の1秒単位で車両各部の動きを定量化できるセンサーを取り付け、実路でタイヤが回転している時のフロントサスペンションの動きを再現し評価する装置を独自開発し活用した。徹底的にデータを吸い上げ地道に設計に反映させていったことが、理想とする新車台の完成につながった。
(文=下氏香菜子)
<全文は日刊工業新聞電子版に会員登録して頂くとお読みになれます> 


日刊工業新聞2016年5月4日

COMMENT

中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ
代表

SGFの頭出しとなる新型「インプレッサ」は現行「レガシィ」に匹敵以上の走りを体感できると聞く。米国インディアナ州スバル・インディアナの能力増強は7月で約30%(約6万台)、新型「インプレッサ」の生産開始となる11月に残りの70%(14万台)の稼動が開始し、再び強い成長期に入る見通しである。吉永社長が掲げた「際立とう2020」で目指す、ユーザーからみて際立った存在というあるべき姿に一歩前進である。

関連する記事はこちら

特集