ニュースイッチ

全国の財務局長の景気判断は正しい?4月は「緩やかに回復」を継続

九州除き据え置き

【東海、生産回復足踏みスーパー販売増】
 総括判断は「生産の持ち直しの動きに足踏みが見られるものの、全体として回復している」。生産は自動車が熊本地震の影響で足踏み。工作機械、電子部品・デバイスが弱含み。消費は百貨店が落ち、スーパーはやや増加。乗用車は低調。先行きは景気の着実な回復を期待するが新興国の減速や労働力不足、熊本地震の影響を懸念。

【北陸、4四半期連続回復住宅建設上方修正】
 総括判断は「回復している」で4四半期連続で据え置いた。項目別では持ち家中心に受注が増加している住宅建設を「緩やかに回復している」に上方修正し、ほかは据え置き。生産は電子部品や医薬品は高水準が続くが、機械やアルミニウム建材が弱含み。個人消費は高額品中心に回復。有効求人倍率上昇で雇用情勢は改善している。

【近畿、機械・電子が低調総括判断据え置き】
 総括判断は「緩やかに回復しつつある」に据え置き。生産は化粧品関連で化学工業が堅調ながら汎用機械や電子部品・デバイス分野が低調で緩やかな回復の動きも足踏み。個人消費は乗用車や家電販売が前年を下回るも、百貨店で高額品や訪日外国人への売り上げが伸長。15年度設備投資は前年超えの見込みで雇用情勢も改善基調。

【中国、車・造船受注堅調雇用情勢も改善】
 総括判断は「緩やかに回復しつつある」に据え置いた。生産活動は一部に弱さがみられるが、自動車が海外向けを中心に受注が堅調。造船も一定量の受注残を抱えており、いずれも操業度は高い水準を維持している。雇用情勢も改善し、人手不足感が一段と広がっている。輸出は鉄鋼や化学製品などが減少し、前年を下回った。

【四国、電気機械が生産増小売り・観光堅調】
 総括判断は「緩やかに回復しつつある」に据え置いた。生産はプラスチック、窯業・土石で需要が減少、電気機械は民間の設備投資などで増加。個人消費は百貨店やスーパーが堅調で観光も持ち直し。雇用情勢は有効求人倍率が高い水準で推移し新規求人数は卸・小売業、製造業で増加。15年度の設備投資は前年度を上回る見込み。

【福岡、総括判断据え置き有効求人倍率上昇】
 総括判断は「緩やかに回復しつつある」で据え置き。個人消費は百貨店・スーパーの販売額が前年を上回るなど堅調。生産は全体として持ち直しているが、足元では熊本地震の影響がみられる。唯一、輸出のみが前年を下回った。電気機器、鉄鋼を中心に減少している。有効求人倍率は引き続き上昇し、2月は過去最高となった。

【九州、回復途上も地震受け比較見送り】
 総括判断を「熊本地震前は一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつあったが現時点ではまずは地震による地域への影響全体について十分把握する必要がある」と、前回との比較は見送った。震災前の各項目ではスマホ部品などの受注減で、生産活動の回復は足踏み状態だったが、その他の項目はおおむね持ち直している。

【沖縄、観光客が過去最高「回復」据え置き】
 総括判断は「回復している」に据え置いた。個人消費は百貨店やスーパーで飲食料品などの販売が好調だった。テレビや白物家電も前年を上回った。入域観光客数は29カ月連続で単月の過去最高を記録し、海外観光客の大幅増加によって観光も回復している。新規求人数が増え、有効求人倍率も上昇し、雇用情勢は改善しつつある。
日刊工業新聞2016年4月28日 中小企業・地域経済面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
なお「九州」は熊本にある九州財務局のことで、熊本、大分、宮崎、鹿児島4県を管轄。「福岡」は福岡財務支局で福岡、佐賀、長崎の九州北部を管轄しています。

編集部のおすすめ