水素・電気供給とロードサービス機能を備える…トヨタがJAFと開発、「小型FCトラック」の全容
トヨタ自動車と日本自動車連盟(JAF)は、水素供給と電気供給、ロードサービスの三つの機能を1台で可能にした小型燃料電池(FC)トラックを開発した。燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)の燃料・電池切れの際に現場に駆け付け、それぞれ車のパワートレーン(駆動装置)に合ったエネルギーを補充できる。実用化に向けては法律や規制の壁もあるが、2025年にも福島県や東京都などで公道での実証を開始する。
給水素、給電、ロードサービスができる「次世代ロードサービスカー」を開発した。トヨタの子会社で、いすゞ自動車などが共同出資する商用車企画会社のコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT、東京都文京区)が手がけた小型FCトラックをベースにした。
水素を燃料とする車両が今後増えることを見越して開発を進めてきた。ガス欠ならぬ「水素欠」になった場合でもガソリン車と同じように、その場で素早く補充できる。
今回の開発車両では、FCVなどが100キロメートル走れる分量の水素を1分程度で充填可能だ。これに加え、パンク修理や「バッテリー上がり」を解消する機能も持たせている。
JAFではEVの「電欠」の増加が課題となっている。23年度のJAFへの出動要請理由のうち、電欠は前年度比約3割増の975件だった。次世代ロードサービスカーではEV1台が約50キロメートル走行できるだけのエネルギーを約10分で充電できる。
トヨタ副社長でもあるCJPTの中嶋裕樹社長は「水素社会をつくるには、単に水素で走る自動車が増えればいいという話ではない。車が安全に、安心して走れる環境作りが非常に大切だ」と強調する。
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日刊工業新聞 2024年11月28日