日本郵船・商船三井・川崎汽船…海運大手3社、4-9月期は全社増収増益も下期市況の見方分かれる
海運大手3社の2024年4―9月期連結決算が6日出そろい、3社の持ち分適用関連会社によるコンテナ船事業が好調で3社とも増収、全利益段階で増益となった。中東情勢などから紅海・スエズ運河を通航できず、喜望峰経由の輸送が継続する中、スポット運賃が上昇したほか円安効果もあった。25年3月期連結業績予想については商船三井、川崎汽船が売上高、各利益段階で上方修正した一方、日本郵船は売上高を下方修正し、各利益段階での見通しを据え置いた。
コンテナ船事業は3社の共同出資会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」が担い、ONEからの持ち分法投資損益は営業外で計上している。コンテナ船事業の収益を含む経常利益は、日本郵船が前年同期比81・6%増の2892億円、商船三井が同61・2%増の2490億円、川崎汽船が同2・3倍の1873億円と大幅増益となった。コンテナ船の市況について明珍幸一川崎汽船社長は「地政学リスクが需給バランスに大きく影響する」と述べた。
25年3月期業績予想では、下期の市況や荷動きの見方が分かれた。商船三井はコンテナ船、自動車船などの製品輸送事業やエネルギー事業が好調に推移するとみて、売上高を前回予想比310億円増とし、経常利益、当期利益をいずれも同150億円増に上方修正。川崎汽船は売上高が同100億円増とし、経常利益が同200億円増、当期利益を同250億円増に上方修正した。日本郵船はドライバルク事業、自動車事業の売上高、経常利益を下方修正するなど消極的な予想となった。曽我貴也日本郵船社長は「10月後半から想定と異なり、運賃や荷量が戻ってきているので、実際にはもう少しよくなる可能性がある」と見通しを示した。
日刊工業新聞 2024年11月7日