工場社員1万人に…マツダが組織風土を大改革、管理型から現場主導に
マツダは2025年4月から組織風土改革プログラム「BLUEPRINT(ブループリント)」を、国内工場で働く技能系社員約1万人に実施する。参加へのモチベーションを高めるために、マツダスタジアムを使った大規模な展開セッションを計画。自動車業界を取り巻く環境変化にも競争力を維持できるように、管理型マネジメントから自律型へと転換を促し、顧客視点で現場が主導する組織風土を全社に醸成する。
ブループリントはマツダの欧州現地法人が始めた取り組み。現場に近い社員を主役とし、マネジメント層が現場を支援する企業風土を目指す。23年度から国内に導入を進め、経営層から間接部門の社員まで約1万2000人が受講した。9月からは工場の職長級にも対象を拡大。受講した社員がナビゲーターとなってプログラムを企画・運営していく。
プログラムは2日間にわたり、社外施設に異なる部署の社員約30人が集まって実施する。職場を離れ、ともに食事や共同作業を楽しむことで、社員同士のつながりを作る。感情が動くようなアクティビティーを挟みながら、マツダが描くブランド体験を体得。職場で直面する課題の解決に、自らの立場で何ができるのかを考えてみることで、記憶に残る研修とするのが狙いだ。
プログラム参加後のフォローアップにも力を注ぐ。定期的に行う社員意識調査の質問項目を見直しているほか、人事制度でも上司だけでなく複数の関係者が多角的に評価する「360度評価」を導入するなど、風土改革の趣旨に沿った体制に順次変えていく。
風土改革は、6月に問題が明るみとなった認証不正の再発防止策にも有効だ。マツダは「ひと中心」を掲げ、全社員が能力を発揮できるように人的資本経営を推進。働く環境の充実や多様な働き方を実現する投資を積極化するとともに、デジタル変革(DX)による業務の改革とブループリントによる風土改革の両輪で取り組む。