ニュースイッチ

高速道路の点検、AI技術で効率化…北大×NEXCO東日本が挑む

高速道路の点検、AI技術で効率化…北大×NEXCO東日本が挑む

現在の道路の点検。これをAIシステムで飛躍的に効率化させる(NEXCO東日本提供)

北海道大学と東日本高速道路(NEXCO東日本)などは、高速道路の点検・管理を効率化する人工知能(AI)システムの共同開発に着手した。カメラを搭載した車両を活用し、2026年早々に実証実験を始める。全国の高速道路は老朽化が進む一方、点検や補修の技術者不足が深刻化している。舗装や植栽など点検箇所が広範囲に及ぶ中、撮影画像をAIが点検して損傷などの早期発見に役立てる。

開発には、北大の創成研究機構データ駆動型融合研究創発拠点(D―RED)が参画。D―RED拠点長の長谷山美紀教授(北大副学長)の研究室などが取り組む。北大D―REDがAIのノウハウを提供し、NEXCO東日本関東支社とネクスコ東日本エンジニアリングがシステム開発を担当する。

NEXCO東日本は日常的な点検で走らせる車両にカメラを搭載。撮影した道路空間の映像をAIに落とし込み、さまざまな不具合をチェックする。道路そのものの舗装管理、植栽やのり面、標識、防護柵など幅広い箇所の管理に役立てる。さらに3者は工事規制における安全性向上のためのリスク検知AI、専門技術者による知見や所見を自動的に生成するAIの開発も目指す。

すでに長谷山教授の研究室は国土交通省・北海道開発局と連携し、道路点検の効率化に向けた実験で成果を上げている。飛行ロボット(ドローン)で撮影した国道の標識などをAIで認識し、損傷を96%の確率で発見したという。

今回のNEXCO東日本との共同開発にもこうしたノウハウを生かす。長谷山教授は「情報科学と土木工学による産学連携の融合研究は、人口減少や人手不足、防災などの課題を解決する可能性を秘めている」としている。

日刊工業新聞 2024年11月6日

編集部のおすすめ