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火星地下に液体の水、広島大が解明した意義

火星地下に液体の水、広島大が解明した意義

火星探査機インサイトが撮影した火星表面(NASA提供)

広島大学の片山郁夫教授らは、火星の地下には現在も液体の水が存在する可能性があることを明らかにした。岩石中を伝わる地震波速度が水の存在や形態によって変化するモデルを活用。水で満たされた割れ目が存在することが分かった。米国の火星探査機インサイトが検出した火星地下の不連続な地震波の原因と見られる。火星地下に生命が存在できる環境があると期待できる。

海洋研究開発機構との共同研究。成果は、米地質学会の科学雑誌電子版に掲載された。

火星地殻を模擬した物質の地震波速度を実験室で測定。地震波速度は岩石中の割れ目を満たす水や空気、氷によって変化し、岩石中の割れ目が増えると地震波速度が低下することが分かった。岩石中を伝わる地震波速度が水の存在や形態で変化するモデルを使って火星地殻での地震波速度を計算すると、火星の深さ10キロ―20キロメートルの層に水で満たされた割れ目が存在することを見いだした。火星で見られる不連続な地震波の原因となる可能性が考えられる。

インサイトは地震計を備えた探査機で、火星の地殻には不連続な地震波があることを解明した。これまでに火星地殻の岩石種が異なることや空隙(げき)率が変化することが原因とされているが、詳細な究明はされていなかった。

日刊工業新聞 2024年10月3日

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