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「車・建機部品加工」高精度を実現、武井製作所の技術力とDX

「車・建機部品加工」高精度を実現、武井製作所の技術力とDX

技術力をはじめとする強みをDXでさらに磨く

武井製作所(千葉県松戸市、武井哲郎社長)は、商用車や建設機械を中心に部品加工を手がける。取引先が要求するコストに対応しながら、図面公差の半分以下の精度で加工できる技術を持つ。それを支えるのが、1948年創立という歴史の中で培ってきた技術力と、20年以上前から取り組んできたデジタル変革(DX)だ。

自動車や建機業界との取引が長く、売上高の50%以上を占める。パワーステアリングやクラッチブースター、油圧、燃料噴射装置などの部品加工に取り組む。両業界を中心に部品加工ノウハウを総合的に蓄積していることから、受注が決まってからの生産ライン立ち上げも早い。適切な材料や形状、表面処理なども提案できる。複合旋盤や測定器、協働ロボットなど継続的に設備投資し、競争力のアップに力を入れる。

これらの強みに磨きをかけるのがDXだ。生産管理から始まり、製造現場に設置する機械の稼働状況の「見える化」、タブレット端末と会員制交流サイト(SNS)を活用した情報の共有化など、生産現場を中心にDXが根付く。従業員は約30人だが、DXで技術力をフルに発揮するとともに向上につなげる。

技能承継も動画やマニュアルで行われている。より分かりやすいように撮影し直すなどバージョンアップも続き、技能伝承もDXで進化を続ける。武井社長は「(持ち運びが便利で、動画の撮影・編集などが容易な)スマートフォンやタブレット端末の進化が大きい」と説明する。

DXが進んだ背景には中小企業の課題である人手不足を解消する必要があったほか、武井社長が常に技術にアンテナを張っていたこと、そして高い品質が要求される自動車業界との取引があったことがある。武井社長は「ようやくDXの花が開いてきた」と自信を深める。

同業他社が対応できない加工が回ってくることも多く、武井社長は「取引先にとって必要な会社でありたい。小さくても強い会社を目指す」と言葉に力を込める。

日刊工業新聞 2024年09月05日

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