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富士通はなぜDIY工房の運営を始めたのか

社内外のアイデアや技術を組み合わせる「共創」を拡大
富士通はなぜDIY工房の運営を始めたのか

4月にオープンした「TechShop Tokyo」

 2016年4月1日に、東京・赤坂にグランドオープンした会員制オープンアクセス型DIY工房「TechShop Tokyo」。「メイカームーブメント」の火付け役として知られるTechShopのアジア第一号店とあって非常に注目を集めている。この工房は一体どんな場所なのか?運営する富士通の「FUJITSU JOURNAL編集部」がご紹介する。

アイデアをカタチにしたいという思い


 工房に入ってまず驚いたのは、その広さと充実した工作設備。最大天井高8メール、約1,200平方メートルもの広い工房は、大きくとられた窓ガラスから明るい光が差し込み、都会の喧騒や六本木のビルの中ということを忘れさせるようなオープンな空間。
 
 米国TechShopの原型をそのまま取り入れることを意識し、レーザーカッターや3Dプリンタといった最新機器のほか、本州に1台しかない木工機械「3Dターニングマシン(CNC木工旋盤)」や、金属加工機、溶接機、テキスタイルミシンなど、約50種類もの工作設備が揃っている。

 TechShopの強みは、アイデアをカタチにするためのプロトタイピングのすべての工程が、ひとつの場所で行えること。事前に必要なトレーニングを受ければ、誰でも工作機械などの機器を自由に利用できる。作りたいものを思い浮かべたら、すぐに作業できる。そんなツールがここには揃っている。

大事なのは夢の実現を助け合うコミュニティ


 TechShop Tokyoの最大の特徴は、ここから生まれるコミュニティを大切にしていること。仕切りの無い大部屋のワークスペースは見通しが良く、会員同士がアイデアを出し合う光景や、モノづくりをする様子が見渡せる。

 「会員同士が自由に会話でき、コミュニケーションが発生しやすいように、開放的なオープンスペースにこだわりました。また、複数人が同時に作業しても安全なように、広々とした作業空間を確保し、安全性と自由を両立した空間を実現しています」と語るのは、TechShop Tokyoを運営するテックショップジャパンの有坂庄一社長。

 赤坂という立地を選んだ理由については、「この地域は、米国本社のコンセプトである"街で一番クリエイティブな人々が集まる場所"に最適なエリアだと考えたからです。様々な職種・人種・国籍の人々が自然に集まるエリアであり、立地の良さから会社の昼休みや仕事帰りに立ち寄れることや、街づくりに取り組める環境であるのも大きな魅力です」と話す。

寄り添うドリームコンサルタント


 工作機器の使い方は、"ドリームコンサルタント"と呼ばれるトレーナーがサポートしてくれる。機器のトレーニングだけでなく、モノづくりのアイデアやプロトタイプのアドバイスなども行っているので、会員にとって心強いサポーターだ。

 彼らは、誰がどんなモノを作っているのか、どんなことが得意なのか把握しているので、会員同士をつなげてコラボレーションの支援といった、お互いの夢の実現を助け合うネットワーキングのサポートにも力を入れている。

 こうしたドリームコンサルタントによるマッチング支援のほか、TechShop Tokyoでは会員同士が気軽につながれるように、ワークショップや交流会などのイベントも予定されている。

誰もがイノベーションを起こせる時代


 TechShop Tokyoは製造業、ベンチャー企業、クリエイター、学生、主婦など、すでに多くの人たちが会員登録している。有坂社長は「全てのアイデアは必ず良いアイデアであり、試す価値があります。そのことで、世の中が変わり、日本から素晴らしいヒットが生まれることを願っています」と思いを込める。

 海外のTechShopでは日々様々なアイデアが生まれ、すでに100以上がビジネスになっている。

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
3年前のメイカーズムーブメントと何が変わっているのか。確かに最近は大手企業は「共創」「協創」という言葉が出始めている。ただオープンイノベーションと言っても各社で考え方や言葉の意味、実践内容が違う。単なる社内のガス抜きに終わらせないためにも、目的を明確化する必要がある。

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