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Pepperのヒミツ(前編)泥臭く「人との共感力」磨く

Pepperのヒミツ(前編)泥臭く「人との共感力」磨く

左は日産の販売店で子供をもてなすペッパー


なぜ法人向けに受けるのか


 2014年6月の発表以来、2年足らずで累計7000台以上の普及に至ったペッパー。特に法人向けの「ペッパー・フォー・ビズ」は15年11月の受け付け開始以降すでに導入企業が1000社を超えた。大企業から小規模店舗まで規模を問わず金融機関、家電量販店、鉄道など幅広い業種で“ウケる”ペッパーの理由は何か。

 ペッパーの優れた点は「できること」をあたかもスマートフォン(スマホ)のアプリケーションのように取りそろえ、増やせることだ。スマホに地図やゲーム、スケジュール管理などのアプリがあるように、ペッパーにも会社の受け付け業務やプレゼンテーション、アンケートといった用途ごとのアプリがありアプリショップで購入して利用できる。

商品説明で興味を引かなかった理由を知る


 仕事に応じたせりふやアクションなどの細かい仕様はテンプレートを選択するなどで設定でき、プログラムを知らなくても簡単に扱えるよう工夫されている。かつ感情認識や個人の顔把握、多言語対応などペッパーが得意な機能を組み合わせれば、お得意様には特別なあいさつをする、商品説明でなぜ興味を引かなかったのかを知る、といったことも可能になっている。

 日産自動車は全国の女性に配慮した販売店「レディー・ファーストショップ」へ、ペッパー100台の配置を進める。導入を進めたマーケティング本部販売促進部の菅野亜紀子部長は、15年6月にソフトバンクから「ペッパーを見てほしい」と誘われた。実機とデモを見て「面白い。来店客が笑顔で楽しくなるような何かができそう」と感じ、その日のうちに採用提案しようと決めた。「気軽に足を運べる店へ変えたい、というマインドと一致した」という。

営業担当の代役ではない存在感


 何をさせるかは議論とモニター調査を重ねて決めた。「営業担当の代わりではなく、来店客に新たな体験、豊かさを与える存在」が良いと至り、子供の相手をする早口クイズやツッコミのデモ、人について動く「GOGOペッパー」などエンターテインメント的なアプリを用意することに。そのため、アプリはソフトバンクの紹介で吉本興業子会社のよしもとロボット研究所(東京都新宿区)と共同開発した。

 現状は80店舗に配属され「来場者数の前年比増加率がペッパーのある店の方が高い」(菅野部長)といった効果が出ている。ペッパーは女性の方が好感度が高く、そこも“当たった”要因のようだ。スタッフにも好評で「人認識機能を使いワンツーワンマーケティングができないか」(同)といった、更なる期待も出てきている。
日刊工業新聞2016年4月1日/6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ペッパーは家庭用にしろ法人向けにしろ、常に同じ場所にいて、常時スイッチが入っていて、人とコミュニケーションを取る。それだけに、ペッパーが当たり前になって来客が飽きてしまう危険は大きい。飽きられないようにするには、とにもかくにもコミュニケーションの中身をよくしないといけないという。そこは「営業回りの芸人と一緒」(蓮実一隆ソフトバンクロボティクス取締役)で、とにかく会話の中身やスキルを良くすることに尽きる。で、スキルはどうやれば上がるのか。人工知能などの最先端技術ではアップしない。ロボット技術とはほとんど関係ない、人間が考えた「ネタ」が命になる。とにかく皆がたくさんアイデアを出し、それを試してウケたものを使う。ほぼ、芸人のネタづくりと同じ事をしている。 (日刊工業新聞社編集局第一産業部・石橋弘彰)

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