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IoT機器の電源利用…三菱電機が開発、振動発電素子の仕組み

IoT機器の電源利用…三菱電機が開発、振動発電素子の仕組み

特殊な磁性材料をコア材にしたコイル

三菱電機は電磁誘導などを利用した環境発電技術を開発した。特殊な磁性材料を用いた高効率の発電素子と、発電素子にかかる磁界を増大させる磁気回路で構成する。工作機械内部の温度を測定するセンサーの電源として活用できる見込みだ。対象の動きを利用して発電するため、電池式のセンサーと比べて交換の手間がない。将来的には、スマート農業や高齢者の見守りに使うセンサーなどの電源用途も視野に入れる。

発電素子のコイルには、コバルトなどを含むバイカロイという合金線を約50本束ねたコア材を用いた。磁化方向が一斉に反転する「大バルクハウゼン効果」という現象を利用することで、磁石の速度によらず一定の発電パルスを生み出す。

発電技術は電磁誘導と大バルクハウゼン効果のピークが重なるよう調整した。一般的な鉄心のコイルより大きな電力を取り出せる。この発電素子と磁気回路を組み合わせた電源を工作機械内部に取り付けると、駆動軸の往復運動を利用して発電できる。マイクロワット(マイクロは100万分の1)からミリワットの電力を供給し、低消費電力のセンサー集積回路(IC)や無線ICを動かせる。IoT(モノのインターネット)機器の電源としての利用を見込む。

実用化の時期などの詳細は今後詰める。波やそよ風、歩行時の振動といった動きでも発電できるため、農水産業の監視システムや人の行動検知といった展開先も見込む。

発電素子の特許は既に出願済みで、学会発表を通じて協業の可能性も探る。バイカロイ合金線が高価なため、試作段階では一般的なコイルに対して数倍の製造コストがかかるが、量産段階である程度抑えられるとみる。


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日刊工業新聞 2024年8月29日

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