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「生成AIを活用して白物家電の付加価値高める」…シャープ新社長が最も成し遂げたいこと

「生成AIを活用して白物家電の付加価値高める」…シャープ新社長が最も成し遂げたいこと

会見する沖津社長

シャープの沖津雅浩社長(66)は16日、就任後初の記者会見を開き、2027年度までに白物家電などの「ブランド事業」の営業利益率を23年度の4・9%から7%まで引き上げる方針を示した。沖津社長は「中期的には生成人工知能(AI)を活用して白物家電の付加価値を高める」と述べた。不採算の液晶事業を縮小しつつ、ブランド事業への投資比率を高める。複合機などの分野では、販売代理店のM&A(合併・買収)も検討する。

6月27日付で就任した沖津社長は「付加価値の高い商品の比率を上げることで利益率が向上する」と説明した。AIなどの技術面で台湾・鴻海精密工業と協力しつつ、シャープが中心となって新商品開発を進める。具体的な金額は明らかにしていないが「付加価値を高めるための投資を積極的にしていく」。

子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市堺区)では大型液晶パネル生産が「(8月の)盆明けには完全に停止する」。中小型液晶を手がける三重工場(三重県多気町)などは「受注量に応じた規模に縮小し、見合った人員に整理している。一部を半導体メーカーに活用してもらう検討も進めている」。

シャープは9日、三重工場の遊休スペースを活用してアオイ電子の半導体生産ラインを構築すると発表した。他工場でも液晶関連の設備や人材の活用を模索しており、業界関係者からはソニーグループの半導体工場に人材を送り込むとの観測も聞かれる。

素顔/シャープ社長に就任した沖津雅浩(おきつ・まさひろ)氏・ 「三現主義」にこだわる

「現場・現物・現実にこだわる『三現主義』の人。一度指示したことは言いっぱなしにせず、後で必ず状況を確認する」との社内評。一方で「新たな挑戦を陰ながら支援してくれる。失敗の要因を追求しても、人を責めることはない」と周囲の信頼は厚い。

前社長(現副会長)の呉柏勲氏は46歳。自身は66歳で組織の若返りにはならないが、「若い人に負けないよう頑張りたい」。技術者として空調事業に携わり、2005年からは中国の白物家電工場の総経理を約3年半務めた。「白物については負けない」と自負。海外駐在の経験などから「人に信用されることがとても大事」と価値観を語る。

液晶パネル事業の苦戦を主要因とする過去数年間の業績悪化が、他社にまねされる商品展開といった“シャープらしさ”を損なってきたと回顧。「最も成し遂げたいのはシャープらしさを取り戻すこと。まずは黒字化する」と決意を示す。(大阪・森下晃行)


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日刊工業新聞 2024年7月17日

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