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自動車部品各社、賃金改善で完成車メーカーとの格差縮まる!?

全トヨタ労働組合連合会、製造系では32組合でトヨタの回答額以上に
 主要自動車部品メーカーの2016年の春闘は、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分の回答がまだら模様となった。トヨタ自動車系では大手を中心にトヨタと同額の回答となったが、一部中堅ではトヨタを超える回答もみられた。一方、ホンダ系ではゼロ回答の企業もあった。16年は完成車と部品各社との賃金格差の是正が焦点の一つとなったが、15年と比べ両社の回答額の差が縮まるなど全体の底上げにつながる動きもみられた。

 トヨタ系の春闘では08年以来、8年ぶりにトヨタの回答額(1500円)以上の会社が現れた。全トヨタ労働組合連合会の製造系加盟組合122社のうち3月末時点の集計(104組合)では、32組合でトヨタの回答額以上となった。1600円の豊田鉄工(愛知県豊田市)など8組合がトヨタを超え、デンソーアイシン精機などがトヨタと同額を回答した。一定の成果は出たが、72組合はトヨタ未満となっており、今後に課題を残した。

 日産自動車は3000円の満額回答だったのに対し、日産との取引が多いカルソニックカンセイやヨロズは1000円、河西工業は800円で妥結。ヨロズは15年比半減となった回答額について「円高や新興国経済の不透明感などから先行きに厳しさも予想されるため」慎重に判断した。

 ホンダ系ではケーヒン、日信工業、八千代工業がゼロ回答となった。ケーヒンは国内事業の体質強化のため2月までに404人が早期退職に応じたばかりで、「体質強化の最中で、まだまだ厳しい状況が続く」とした。

 日信工業は国内外の経済環境の不透明さや円高が今後の景気に与える影響を危惧。「状況を考えるとゼロ回答が精いっぱい」と述べた。

 独立系の部品メーカーでは小糸製作所、市光工業、リケンが1000円を回答。リケンは業績や完成車メーカーの動向をみて最終的に金額を決めており、「完成車メーカーがベアを満額回答していない以上、これが精いっぱい」とした。

 自動車総連によると3月末までの賃金改善分の回答状況は、完成車メーカー以上の回答を獲得したのが97組合で、15年実績の56組合から約倍増した。また完成車と車体・部品メーカーの賃金改善分の獲得額を比べると、両社の差は14年が772円、15年が1565円だったが、16年は376円に縮小した。

自動車総連の相原康伸会長は、これまで企業規模が小さくなるにつれ賃金引き上げ額が見劣りする傾向があったと指摘。今春闘では個別の労使が自らの賃金課題などを背景に積極的な賃金引き上げを図る「新しい賃金メカニズムの兆しが見えつつある」(相原会長)とし、自動車業界全体の底上げにつながる可能性があるとの考えを示した。
日刊工業新聞2016年4月6日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
トヨタグループ内の「トヨタの賃上げ額未満で決着する」という不文律を崩し、デンソー、アイシン精機、豊田自動織機がトヨタのベア額と並ぶ月額1500円で妥結。トヨタと同額の回答を引き出したのは8年ぶり。それよりも規模の小さい部品メーカーは人手不足が賃金改善にトリガーになっているのは間違いない。

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