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量産終了15年、廃却・継続を再協議…トヨタが金型保管で新方針

量産終了15年、廃却・継続を再協議…トヨタが金型保管で新方針

トヨタは金型の保管に関し取引先に対する新たな方針を決めた(「ハリアー」を生産する高岡工場)

トヨタ自動車が自動車部品製造に使う金型の保管に関し、取引先に対する新たな方針を決めたことが分かった。量産終了後、保管期間が15年に到達した時点で廃却や継続保管などの方向性を再協議し、必要があれば取引価格に反映する。トヨタでは子会社が金型の無償保管で下請法に違反し、公正取引委員会から勧告を受けた。トヨタが取引のあり方を迅速に見直すことで、子会社やグループ会社への波及効果も期待される。

9日までにプレス加工や射出成形などを手がける取引先に通達した。量産終了後の金型は、補給品と呼ばれる修理や交換に使われる部品を製造するため、一定期間の保管が求められている。主に発注側からの要請により、部品を手がける取引先で保管することが慣習となっている。ただ倉庫代など保管費用がかかる一方、生産数が少なく利益を上げづらいなど、取引先の負担になっているケースも多い。

経済産業省・中小企業庁などが2019年にまとめた型取引のルールでは、自動車関連産業について量産終了後15年が経過した場合に取り扱いの協議をするよう促している。トヨタでも原則、保管期間を量産終了後15年と定めているほか、一定期間の生産数が基準を下回った場合や、一定数の補給品を在庫として抱える場合などに、型の廃却を可能としている。しかし15年経過後の方針は決まっておらず、今回新たに対応策を打ち出した。

木型や型に使う治具なども含めた型取引については、取引先の負担の大きさを鑑みて政府が問題視しており、企業庁などが16年から取引適正化に向けた取り組みを実施。19年にルールを策定し、型代金の前倒し払いや一括払い、不要な型の廃却推進、保管費用の支払いなどを促している。

ただ長年の慣習から適正取引が浸透していない部分もあり、公取委から下請法違反で勧告を受ける事例が頻発。発注側を中心に、取引是正に向けた動きが求められている。


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日刊工業新聞 2024年7月10日

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