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既存借入金490億円完済…曙ブレーキ、再生計画にめど

既存借入金490億円完済…曙ブレーキ、再生計画にめど

オンラインで会見した宮地康弘社長(左)と宇佐美健史執行役員

曙ブレーキ工業の事業再生計画期間が終了する。ドイツ銀行東京支店をアレンジャー(調整役)としてリファイナンス資金を借り入れ、30日が一括返済期日の既存借入金約490億円を完済することを決めた。私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)で進めてきた事業再生計画の期間終了により、持続可能な成長に向けて再スタートを切る。

宮地康弘社長は米国1工場化を実現した上で高収益事業に集中する方針を示した。「事業再生計画中に達成できなかった北米再構築は最優先課題」(宮地社長)とし、25年12月に1工場を閉鎖し、残る1工場体制での生産最適化で利益改善を目指すと強調。中長期の持続的成長に向け「電気自動車(EV)に求められる高性能ブレーキや摩擦材を伸ばしたい」(同)と語った。

同社は米国事業の不振などで収益が悪化し、19年1月に事業再生ADRを活用した再建方針を発表した。19年3月期には当期損益が182億円の赤字に転落。当初想定しなかったコロナ禍や半導体不足、エネルギー高騰のあおりを受け事業再生計画の未達が続いていた。工場集約などを進め、24年3月期には営業利益が約32億円に回復したが、事業再生計画値は未達だった。

今回調達する320億円と自己資金170億円で総額490億円を完済する。財務体質を強化しつつ高収益事業を伸ばし、外部環境に左右されない強固な経営基盤を構築する。


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日刊工業新聞 2024年06月17日

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